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01月11日-02号

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  1. 大阪市議会 1995-01-11
    01月11日-02号


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    平成7年第4回定例会(平成7年12月・平成8年1月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成8年1月11日)   平成8年1月11日午後1時開議◯出席議員88人(欠は欠席者)     1番    岸本節男君     2番    稲森 豊君     3番    待場康生君     4番    秋庭芳男君     5番    足高將司君     6番    多賀谷俊史君     7番    大西宏幸君     8番    神原昭二君     9番    紀野敏明君     10番    村上史好君     11番    鈴木成男君     12番    福山よしてる君     13番    山本修子君     14番    松岡 徹君     15番    広岡一光君     16番    坂井良和君     17番    木下吉信君     18番    高野伸生君     19番    新田 孝君     20番    井上淑子君     21番    河本正弘君     22番    小笹正博君     23番    高田雄七郎君     24番    瀬戸一正君     25番    谷下浩一郎君     26番    藤川基之君     27番    土居一雄君     28番    小玉 滋君     29番    下田敏人君     30番    長谷正子君     31番    石川莞爾君     32番    仲山忠男君     33番    小西 実君     34番    菅井敏男君     35番    松原恵子君     36番    天野 一君     37番    大丸昭典君     38番    柳本 豊君     39番    玉木信夫君     40番    美延郷子君     41番    新堂庄二君     42番    船場太郎君     43番    辻 洋二君     44番    奥野正美君     45番    中村好男君     46番    永藪隆弘君     47番    松崎 孔君     48番    福田賢治君     49番    勝田弘子君     50番    松田 力君     51番    村尾しげ子君     52番    加藤正武君     53番    川口 優君     54番    和田充弘君     55番    壷井美次君     56番    野村 清君     57番    公原賢司君     58番    田中義一君     59番    石井義憲君     60番    徳田育久子君     61番    改発康秀君     62番    太田勝義君     63番    北山 篤君   欠 64番    床田健三君     65番    北野禎三君     66番    物部秀恒君     67番    上野節夫君     68番    小西礼子君     69番    大島豊太郎君     70番    山下典嘉君     71番    一色孝之君     72番    井出和夫君     73番    辰巳正夫君     74番    姫野 浄君     75番    関根信次君     76番    矢達 幸君     77番    松村将司君     78番    岡  潔君     79番    浜口晴敏君     80番    中西建策君     81番    柳井伝八君   欠 82番    辻 昭二郎君     83番    山下喜一君     84番    藤岡信雄君     85番    勝田重春君     86番    加藤 進君     87番    森野光晴君     88番    永井 博君     89番    山口泰弘君     90番    黒田輝夫君---------------------------------------◯職務のため出席した事務局職員          市会事務局長      笹倉和忠          次長          小市敏文          議事課長        小西壽昭          議事課長代理      津田 薫          議事係長        宮崎光雄---------------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員          市長          磯村隆文          助役          阪口英一          助役          佐々木 伸          助役          關 淳一          収入役         木地鐡平          市長室長        土崎敏夫          総務局長        大西凱人          市民局長        中村 保          財政局長        橋本 博          計画局長        井越將之          民生局長        足立公夫          経済局長        山幡一雄          中央卸売市場長     石部 勝          環境保健局長      藤井 曉          環境事業局長      島田 勲          都市整備局長      岡本宏行          建設局長        佐々木茂範          下水道局長       田野隆一          港湾局長        阪田 晃          副収入役兼収入役室長  小笠原文七郎          市立大学事務局長    川村恒雄          消防局長        岡本吉晃          交通局長        板垣義鳳          水道局長        横内利光          教育委員会委員     伊勢戸佐一郎          教育長         森田雅美          選挙管理委員会事務局長 末田 直          人事委員会事務局長   山田康彦          監査事務局長      竹中 茂--------------------------------------- ○議長(徳田育久子君) 皆様、新年明けましておめでとうございます。議員並びに理事者各位におかれましては、健やかなる新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。 昨年は、皆様方の御協力により円滑に議会が運営されましたことを心より御礼申し上げますとともに、本年も引き続き御協力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 △開議    平成8年1月11日午後1時3分開議 ○議長(徳田育久子君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を柳本豊君、土居一雄君の御両君にお願いいたします。 ○議長(徳田育久子君) この際、過日就任されました關助役よりごあいさつがあります。 關助役。   (助役關淳一君登壇) ◎助役(關淳一君) 一言ごあいさつを申し上げます。 私、過日の市会本会議におきまして、皆様のご同意を賜り、12月28日付をもちまして助役を拝命いたしました。市政極めて重大な時期にあり、誠に微力ではございますが、市政推進のために全力を注いでまいる所存でございますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう切にお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(徳田育久子君) 次に、過日再任されました伊勢戸教育委員会委員よりごあいさつがあります。 伊勢戸教育委員会委員。   (教育委員会委員伊勢戸佐一郎君登壇) ◎教育委員会委員伊勢戸佐一郎君) お許しを得まして、一言就任のごあいさつを申し上げます。 私は、昨年12月27日の市会本会議におきまして、皆様方のご同意を賜り、12月28日付をもちまして教育委員会委員に再任されました伊勢戸佐一郎でございます。誠に微力ではございますが、再び教育委員会委員の重責に任じられました上は、皆様方の御教示を得まして、本市教育行政の進展に全力を尽くしたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。 誠に簡単でございますが、就任のあいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(徳田育久子君) 次に、過日の人事異動に伴い、新たに就任されました藤井環境保健局長よりごあいさつがあります。 藤井環境保健局長。   (環境保健局長藤井曉君登壇) ◎環境保健局長(藤井曉君) 去る12月28日の人事異動によりまして、環境保健局長を拝命いたしました藤井でございます。誠に未熟ではございますが、職務に精励いたす所存でございますので、よろしく御教示、御指導のほどお願い申し上げます。 甚だ簡単ではございますが、就任のごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ○議長(徳田育久子君) この際お諮りいたします。北野禎三君、物部秀恒君、野村清君、姫野浄君、加藤正武君より、市長に対して特に口頭で質問いたしたいとの申し出があります。会議規則第58条の規定により、これを許可することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(徳田育久子君) 御異議なしと認めます。よって北野禎三君ほか4君の質問を許可することに決しました。 65番北野禎三君。   (65番北野禎三君登壇) ◆65番(北野禎三君) 私は、昨年末の市会での磯村市長の施政方針に対しまして、自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、質問を行いたいと存じます。 今、我が国は、戦後50年を経て大きな転換期を迎えております。国際化の一層の進展や急速な円高など、我が国産業の空洞化と地域経済への影響が懸念されるとともに、高齢人口の増加と出生率の低下による急速な少子化の進行は、21世紀初頭での人口減少・高齢社会の到来を確実なものとしております。また、昨年1月に発生した阪神・淡路大震災により、都市の安全性が改めて問われております。昨年5月には地方分権推進法が制定され、地方公共団体がこれまで以上に自主的に、これらの経済環境の変化に伴う諸課題に、迅速かつ的確に取り組んでいくことが求められているところであります。 磯村市長は、これまでの市立大学教授経済学部長としての学究生活と、2期5年半にわたる助役としての経験を生かして、市民が誇れるような行政とまちづくりを進めていく決意を明らかにしておられますが、我が自由民主党においても、議員団を挙げて一致協力し、直面する諸問題の解決に取り組んでまいることを、まずもってお約束した上で、市政運営の基本にかかる問題について、何点かお尋ねをいたします。 まず、地方分権の推進についてであります。明治維新、戦後改革に次ぐ第3の改革ともいうべき地方分権の推進は、今や実行の段階へと移りつつあり、しかも分権の帰趨を決する重要な時期を迎えているといっても過言ではありません。昨年末には、大阪市会においても、地方分権の推進に関する意見書を全会一致で決議し、地方分権の推進に当たっての姿勢を明らかにしたところであります。 大阪市を初めとする大都市は、定住から交流の時代にあって、都市圏の中枢都市としての広域的、国際的な役割を果していくことが、強く求められております。新たな都市問題に主体的に取り組み、都市行政を総合的に展開していくため、大都市が分権の主たる担い手として位置づけられるよう、強く、全市を挙げて求めていくべきであると考えます。大都市、さらには全市町村のリーダーとして、地方分権推進に当たって具体的考え方を早急に明らかにし、大都市への大幅な権限移譲、税財源の拡充強化等が図られるよう、国等に対して積極的に働きかけていくべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 また、地方分権を推進するためには、地方公共団体が改めてその責務を自覚し、社会の変化に対応して、不断に自ら改革を図っていく必要があります。国、地方を通じた厳しい財政状況の中で、大阪市が21世紀に向けて着実にまちづくりを進めていくためには、全庁的な体制のもとで、既存の事務事業を大胆に見直すとともに、積極的にOA化を推進することなどが、これまで以上に求められております。 国において、地方公共団体における行財政改革のための指針が策定され、通知がなされて以来1年以上が経過しております。この間、大部分の指定都市が、明確な方針のもとに全庁的な体制で行財政改革に取り組んでいるところであります。大阪市においては、方針さえも明らかとなっておりません。 行政事務の情報化も遅れております。大阪市は、全国に先駆けてテレポート計画に名のりをあげ、私の提案で大阪メディアポートを設立し、情報通信基盤の整備には取り組んできておりますが、行政情報の提供など、ソフト面は全くといっていいほど進んでおりません。市長は、インターネットを通じ、広く世界の人々に市の姿をPRする決意を明らかにされておりますが、庁舎・事業所間のオンラインも実現しておらない現状では、市政情報の適時・的確な提供さえもおぼつかないと考えております。これを阻害してきたのは、市の労働組合であると断言しても過言ではありません。今回の市長選挙において、自由民主党を初めとする4党・労働組合一致協力し、磯村候補を支援してきたところであります。これを機会に、市長自ら率先して労働組合をリードしていくべきであります。労働組合もまた、対立ではなく協調・融和し、市政の推進に協力し、市民福祉の向上に努めることが市政に携わるものの責務であると考えております。市民の信託にこたえ、地方分権の時代にふさわしい効率的な行政を推進していくため、労働組合に対する姿勢と行財政改革についての具体的な方針を明らかにし、市政の改革に邁進していくべきものであると思います。市長の決意のほどをお伺いいたします。 次に、安全に安心して暮らせるまちの実現に向けて、特に、災害に強いまちづくり高齢者福祉の推進についてお尋ねするとともに、これら施策を真に実行あるものとするため必要不可欠な、市民がお互いに助け合う安全ネットをどのように構築していかれるのか、お伺いをいたします。 まず、災害に強いまちづくりについてであります。昨年1月に発生した阪神・淡路大震災は、大阪市における被害も含め、死者6,300名、負傷者43,000人と甚大な被害をもたらしました。鉄道・道路や、電気・ガス・水道といったライフラインなどが大きな被害を受け、その影響は広範囲にわたって市民生活や、社会、経済活動に大きな損害を与えたことは、記憶に新しいところでございます。早急に都市施設の耐震性の向上に向けた方針を作成するとともに、公共建築物を初め民間建築物の耐震性の向上を図っていく必要があると考えます。 また、道路や公園などオープンスペースを確保し、不燃化を促進していくことが重要であります。特に、老朽住宅密集市街地については、緊急的に延焼遮断帯等を整備するなど、防災性の向上を図っていく必要があります。小・中学校等を地域の防災拠点として明確に位置づけ、ライフラインを充実、確保し、応急物資の備蓄を推進するとともに、災害時には教職員が地域支援のリーダーとして活動できる体制をつくりあげなければなりません。避難路の整備とあわせ、沿道の不燃化を図っていくことも非常に重要であります。さらに、災害、防災に関する情報を可能な限り提供し、個人、地域レベルで主体的に災害に対応できるような条件整備を行うとともに、地域防災拠点を核とした防災生活圏を形成し、それらのネットワーク化等により、広域的な防災生活圏を形成していくことが重要であります。 確固とした防災体制の構築に向けて、早急に具体的な方針を明らかにし、都市の安全性の向上を図っていくことが、市民の安全と財産を守るという基礎的な、自治体としての大阪市の役割であると考えます。 また、おとしよりが生きがいをもって元気に暮らせるまちづくりを進めていくことも重要であります。急速な高齢化の進展に伴い、高齢者介護の問題が個人、家族、社会にとって大きな課題となっております。安心して暮らしていける地域社会の条件整備が急務であり、介護サービスの量的・質的な拡充が必要であります。 国においては新ゴールドプランを策定するとともに、高齢者が自立した生活を送れるよう支援することを基本理念とした、新たな高齢者介護システムの導入を検討しているところであります。大阪市としても、高齢者保健福祉計画を早急に改訂し、地域の実情に沿って、要援護高齢者に対するサービス供給計画・システムを再構築していく必要があると考えます。 また、高齢者の多くは健康で活動的であります。こうした高齢者が社会活動に積極的に参加し、地域社会で安全に行動できるよう、住宅や公共施設などのバリアフリー化を推進する必要があります。さらに、高齢者の生きがいづくりや社会参加の支援策についても、高齢者保健福祉計画の改訂にあわせ、明確に位置づけ、計画的に推進していくことが必要であると考えます。 さらに、災害が起こったとき、隣近所が助け合い、常日頃はひとり暮らしのおとしよりの心の支えともなる安全ネットの構築がぜひとも必要であります。困ったときには、遠くの親戚より近くの他人であります。しかも、安全ネットの意義は、防災・福祉の分野にとどまるものではないと考えます。市民の健康づくりを支援し、生涯スポーツなどを振興していく上でも、お互いに誘い合い参加を促す大阪型コミュニティをつくりあげていかねばなりません。 職員や在勤者も組み込んで、多面的な市民のネットワークづくりが可能となるよう、地域振興会をより活性化し、基軸となる組織づくりに早急に着手していく必要があると考えます。安全に安心して暮らせるまちの実現に向けて、市長の御所見をお伺いいたします。 また、こうしたネットワークが、大阪オリンピックを支える大きな力となるとも考えます。今年は地球市民のオリンピックという基本理念のもとに、日本オリンピック委員会に立候補し、いよいよ招致実現に向け本格的にスタートを切る時であります。オリンピック招致において最も大切なことは、市民の熱意であります。アトランタもシドニーも長野冬季オリンピックも、招致に成功した理由のうち最大のものは、市民のオリンピック実現に向けた熱意であり、大阪市民すべてがオリンピックの実現を望み、市民全体で招致活動を展開していく必要があります。アトランタオリンピックで40,000人ものボランティアがオリンピックを支えるように、大阪でも多くの市民参加を得て、ホスピタリティのあふれるオリンピックを実現しなければならないと考えます。市民のコンセンサスの形成に向けて、安全ネットの構築とあわせ、計画的に取り組んでいく必要があります。 この他にも解決しなければならないさまざまな課題がございます。ハード面では、アクセスなどの都市基盤、競技施設などの整備であり、ソフト面では、運営計画を初め国際審判員の育成などであります。さらには、国際オリンピック委員会への招致活動をどう進めていくのかということも重要であります。立候補を目前に控えまして、このような種々の課題にどのように取り組んで解決されていくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 また、活発な都市活動を支えるために欠かすことのできない空港、鉄道などの都市基盤の整備を、長期的展望に立って着実に進めていくことが重要であります。関西国際空港については、国際ハブ空港としての役割を果たすため、全体構想の実現に向けて取り組んでいかなければなりません。全体構想の推進とあわせ、鉄道・道路など空港関連施設の整備も進めていく必要があります。オリンピック開催を視野に入れて、夢洲、舞洲への鉄道・道路など、交通基盤の整備も求められております。鉄道・道路の整備により、市街地の計画的な更新と、市域のバランスある発展を図っていくことも必要であります。環境と調和した道路交通網の形成を着実に推進するとともに、地下鉄7号線、片福連絡線の開通時期も視野に入れながら、切れ目なく鉄道網整備を推進するため、大阪外環状線に次ぐ路線を早急に具体化し、整備していくべきであると考えます。 また、新・新幹線の整備促進にも取り組んでいく必要がございます。北陸新幹線については、大阪-敦賀間の駅・ルートが一日も早く公表され、大阪から着手が図られるよう関係機関に積極的に働きかけるとともに、リニア中央新幹線については、大阪における新駅の設置箇所を早急に決定し、実現に向けて取り組んでいくべきであると考えます。 さらに、これまで以上に情報通信基盤の整備に取り組んでいく必要があります。衛星放送、CATVなど新しい映像メディアや携帯電話、パソコンなど各種の情報機器が広範囲に普及しつつあり、インターネットパソコン通信に代表されるようなネットワーク化が急速に進展するなど、本格的な高度情報化社会が到来しつつあります。 市民の絶大な協力を得て、成功裏に終わったAPEC大阪会議を一過性のものとすることなく、オリンピック招致を目指す大阪市を世界に向けてアピールするためにも、インターネットなどを活用し、大阪の情報を積極的に発信していかなければなりません。そのためにも、情報化対策室といったようなものを設置し、ノウハウを有する職員の英知を全庁的に結集し、取り組んでいく必要がございます。21世紀の都市発展の基礎となるこれらの都市基盤の整備について、市長の基本的なお考えをお伺いいたします。 また、大阪が活力あふれるまちであるためには、国際競争力を備えた創造性豊かな中小企業を育成していく必要があります。我が国経済は、4年連続して実質ゼロ成長という厳しい事態に直面しており、将来の経済発展の基盤となる情報インフラの整備などを推進するとともに、新規事業を創出するなど、経済構造の改革を行い、新たな発展の道筋をたてることが求められています。アジア諸国の経済成長や、円高等による生産拠点の海外シフトの進行に伴い、産業の空洞化が懸念されるところであり、地域経済の活性化を図っていくためには、生産機能の高度化や、新たな成長産業の育成等による産業構造の転換が必要であります。 大阪市もまた同様であります。数多くのニュービジネスを生み出し、我が国産業、経済の発展をリードしてきた大阪市においても、企業の新規開業率が低下し、事業所総数が減少しております。これまで以上に国際化の進展や産業構造の変化に柔軟に対応できるダイナミズムを構築していく必要があります。そのためには、チャレンジ精神あふれる企業家の支援や、時代を担う産業の育成などに努めるとともに、アジア太平洋地域と大阪相互の発展を、より一層推進していく必要があります。また、産業・文化情報の発信機能を強化し、多くの人々が訪れ、活気ある国際集客都市づくりを通じて、産業振興にも取り組んでいくことが重要であると考えます。大阪経済の活性化に向けて、経済の専門家である市長の決意のほどをお伺いいたします。 最後に、中央公会堂の保存・再生の意についてお尋ねをいたします。大阪市は中央公会堂の保存・再生に着手すべく準備を整えておりますが、総事業費は200億とも300億とも仄聞するところであり、大阪のシンボルとして、また、観光の名所として数多くの人々が訪れる大阪城天守閣の平成の大改修に70億をかけるのと比べ、なぜそれほどの市税を費やす必要があるのか理解できません。市長は、大阪の素晴らしい歴史と文化を後世に伝え、市民が訪れるまちを目指して、難波宮の復元を初め新博物館の整備などを推進していくこととされておりますが、この公会堂は、どれほど歴史的・文化的価値を有するものであるのか、市民にはいま一つ納得がいきません。 私は、公会堂の保存には反対ではありません。しかし、これほどの巨額な投資をするならば、保存はほどほどにいたしまして、キタに対するミナミに、超近代的な第二公会堂をつくる方が得策であると考えておりますが、市民の意見、要望を積極的に市政に反映させていくおつもりならば、この公会堂の保存・再生こそ、着手にあたり市民の声を聞く必要があると考えます。西尾市政をよりよく継承していくためにも、英断が必要であります。中央公会堂の保存・再生を、従来の方針通り進めていかれるのか、市長の御見解のほどをお伺いいたします。 以上、いろいろとご質問を申し上げましたが、個別の具体的課題につきましては、今後、予算市会の代表質問等を通じてお尋ねしてまいることとし、私の質問はこれをもって終わらせていただきます。どうも御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(徳田育久子君) 市長の答弁を許します。 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) 私にとりまして初めての一般質問答弁でございますので、いささか緊張いたしております。 ただいまの北野議員の御質問に対しましてお答えをいたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。 地方分権の推進についてでございますが、現行政令指定都市制度は、大都市の実態を十分に反映したものとはいえず、また、国・都道府県の関与が、自主的、総合的な大都市行政の支障となっていることから、まず、国・都道府県・大都市の役割分担を市町村優先の原則に従って見直し、国及び都道府県から大都市への大幅な権限移譲、関与の見直しなどとともに、これに見合った税財源の移譲など、大都市制度の拡充強化が図られることが必要であると考えております。 これまで国における分権の審議の機会等をとらえ、さまざまな要望活動を行ってまいりましたが、本年中にも地方分権推進委員会で指針が作成される予定となっておることを踏まえ、大都市の実態に則した権限移譲の項目等について取りまとめなどを行い、他の指定都市とともに力を合わせ、これまでにも増して国等に積極的な働きかけを行っていく所存であります。 昨年12月には、市会におきまして全会一致で「地方分権の推進に関する意見書」を決議いただき、まことに心強い限りであります。今後とも地方分権の推進に向け積極的に取り組んでまいりますので、市会の皆様のお力添えを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 次に、行財政改革についてでございますが、既存の事務事業を日常不断に見直し、限られた財源と人材を効率的に活用しながら、簡素で効率的な行財政運営に努め、時代とともに高度化・多様化する市民ニーズに即応した市民サービス・市民福祉の増進を図っていくことにあり、この基本姿勢は不断に追求されなければならないものであります。本市の厳しい財政状況の中で、21世紀に向けて今後重点的に進めていくべきまちづくりに向け、策定中の総合計画21推進のための中期指針を着実に推進していくために、限られた財源・人材のより効率的・効果的な活用策、事務事業の見直し、組織機構のあり方などについて、今一度検討し、地方分権の時代にふさわしい行政運営に努めてまいりたいと存じております。 特に、行政の情報化についてでありますが、大阪市情報化計画に基づき、行政事務の効率化・高度化を図り、さらに、市民の方が必要な市政情報は、身近なところで簡単に入手できるシステムの構築に鋭意取り組んでまいっております。また、大阪市に関する情報について、インターネットを通じて広く世界に向けて情報発信に努めるなど、今後とも行政の情報化を積極的に推進してまいりたいと考えております。 また、私ども市政に携わるものにとりまして、市民サービスの向上と市民福祉の増進に努めることは当然の責務であり、北野議員とまったく同感であります。今後の市政推進にあたり、労働組合に対しましても、私が率先して理解と協力を得て、相互に協調しながら、全力を挙げまして市民の皆様の期待と信託にこたえてまいります。 いずれにいたしましても、行財政改革基本指針につきましては、昨年4月に設置いたしました、大阪市総合計画・行財政改革推進本部において鋭意検討しており、今年度内に策定し、着実に実施してまいります。 安全に安心して暮らせるまちの実現に向けてでございますが、まず、災害に強いまちづくりにつきましては、今回の阪神・淡路大震災から得られましたまちづくりに対する厳しい教訓を生かし、都市施設の耐震強化や地域の防災力の向上など、災害に強いまちづくりを進めていく必要があると考えております。 都市施設につきましては、国等の動向を勘案しつつ、地盤条件や地域特性を考慮した本市の耐震補強や設計の技術的な指針を8年度をめどに策定し、耐震補強に取り組むとともに、民間建築物につきましては、耐震診断・補強に関する普及・啓発や、本市独自の耐震診断補助を引き続き行うほか、建築物の耐震性の向上に向けた施策を充実してまいりたいと存じます。 これまで進めてきた道路・公園などの市街地整備を進めることはもとより、密集市街地につきましては、一部で事業化を進めておりますが、住環境の整備や防災性の向上を目指し、早急に取り組むべく、現在、調査を実施しております。調査に当たっては、地震時の救助や消火活動、避難や延焼の防止など、地域における防災活動の拠点としても機能できる道路・公園などの整備方策について検討し、市民の意向も踏まえつつ、密集市街地の防災性能の向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。また、避難路の沿道不燃化をより一層促進し、延焼の遮断にも機能するような防災性能の向上を推進いたします。 一方、地域の防災力向上につきましては、災害時の防災活動の拠点となる小・中学校等へのライフラインを充実し、救助用資器材や備蓄物資等を配備し、さらに、災害時には全職員が一体となって対処するため、職員の区役所等への直勤参集制度を取り入れるなど、初動体制の確立を考えてまいる所存でございます。教職員につきましても、避難所となる学校施設等の運営を初めとして、地域と一体となり対応できる体制の確立に努めたいと考えております。 また、市民の皆様方への防災に関する情報提供を図るとともに、地域の防災組織の育成を進めてまいりたいと考えております。地域の応急活動に必要な情報・物資、防災に関する広報・訓練等の拠点や、本市の防災中枢機能の代替機能をあわせた防災拠点施設の整備を図り、全市的な防災ネットワークの形成に努めてまいりたいと考えております。 現在、これら施策の基本となる地域防災計画を抜本的に見直しており、8年度末に新たな計画を策定し、防災体制の構築に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 高齢者福祉の推進についてでございますが、本市における高齢者施策は、大阪市高齢者保健福祉計画により推進しておりますが、新ゴールドプランや新たな高齢者介護システムの検討などの国の動向なども勘案しつつ、計画期間の中間時点である平成8年度に、地域の実情を踏まえ計画を見直したいと考えております。 計画の見直しにあたり、ホームヘルプサービスを初めとする介護サービスの量的・質的な充実や、安全ネットとして期待の大きい、地域ネットワーク委員会活動を初めとする地域在宅サービス提供システムの充実強化を図りますとともに、生きがいづくりや社会参加を促進するため、老人クラブやシルバー人材センターの一層の充実はもとより、生きがいづくりの中核となる施設の整備や老人福祉センターの機能充実、多様なニーズに対応した指導者の養成、ボランティア活動への参加機運の醸成を図るなど、生きがい活動の支援についても、新たな視点で計画に盛り込んでまいりたいと思います。また、昨年改正いたしました、ひとにやさしいまちづくり整備要綱等に基づき、バリアフリー化を一層推進してまいります。 安全ネットの構築についてでございますが、非常の災害時やふだん一人暮らしのおとしよりが困ったときなどに隣近所で助け合うという安全ネットはなくてはならぬものであり、その構築のためには、議員御提言の大阪型のコミュニティづくりを一層発展させる必要がございます。具体的には、地域を主体とした、いわゆる地縁に基づくコミュニティを基本とし、コミュニティづくりの担い手となるコミュニティ協会の機能を充実し、全市的な視点から支援する体制づくりに取り組んでまいる所存でございます。一方、地域活動推進の要である地域推進会につきましても、例えば、災害時に地域ぐるみで防災活動ができるような自主防災組織の基盤となるなど、新しい時代のニーズに対応できるよう、一層の育成、支援を進めてまいりたいと考えております。 さらには、在勤者なども組み込んで、趣味や生きがいなど同じ目的を持ち、ともに学びあうことによりふれあいや交流が生まれるという知る縁、つまり知縁、すなわち知り合う縁による新たな都市型コミュニティづくりでのグループやサークル活動等の成果も活用して、コミュニティの輪を一層広げていくことが、多面的な市民のネットワークづくりの基盤につながり、今後の本市の施策の実行性を支える大きな力になるものと確信いたしております。 大阪オリンピックの招致についてでございますが、大阪市は、近代オリンピック100年に当たる本年、2008年第29回オリンピック競技大会の開催都市として、JOCへ正式に立候補いたします。今までの準備段階から、大阪オリンピックの実現に向けての本格的な招致活動に入り、これまで以上に全市を挙げての取り組みが必要であると考えております。招致実現に必要とされるのは市民の熱意であり、今後、昨年設立されました大阪オリンピック招致推進会議を中心に、世界に向けて大阪オリンピック招致の熱意が伝わるように、市民運動の展開に取り組んでまいります。また、オリンピックを支えるのは市民のボランティアであり、オリンピック開催を視野に入れて、計画的に人材の育成に努めていかなければならないと考えております。その際、多面的な市民のネットワークが大きな力になると思います。また、オリンピックを開催するためには、競技プログラムはもとより、競技会場、選手村などの施設計画、輸送計画、さらには財政計画など、広範囲にわたるさまざまな課題を解決していく必要がございます。今後、全庁的組織である大阪市オリンピック招致推進本部において研究、検討を重ね、市民とともにつくる地球市民のオリンピックの実現を目指し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、都市基盤の整備についてでございます。安全・快適な市民生活や活発な経済活動を支えるためには、環境との調和に十分配慮しながら、確固たる都市基盤を形成することが極めて重要であると考えております。 まず、関西国際空港につきましては、国際ハブ空港として発展していくよう、全体構想の早期実現に向けて積極的に取り組んでまいります。 鉄道網整備につきましては、大阪外環状線が平成8年度より事業化の予定であります。引き続き運輸政策審議会答申第10号に掲げられた路線について、都心部の混雑緩和、関西国際空港へのアクセス強化、臨海部の開発促進、2008年のオリンピック、市周辺部の活性化などを念頭におきながら、緊要度、整備方策を十分検討し、計画的に整備してまいります。 新たな新幹線につきましては、大阪市が西日本の中枢都市として発展していく上で重要な交通基盤であると考えており、北陸新幹線のルート、駅位置が早期に公表され、大阪からの整備着手が図られるよう、関係機関に強く働きかけてまいります。 また、リニア中央新幹線についても、新時代の高速交通システムとして大きな効果が期待できるものと考えており、実現に向けて、大阪市全域を視野に入れ、駅位置などを十分検討し、関係機関とも連携して、本市も主体的にかつ積極的に取り組んでまいります。 次に、情報通信基盤につきましては、昭和60年には大阪メディアポート株式会社を設立し、大阪市を中心とする近畿一円をカバーする光ファイバー通信網を構築してまいったほか、都市型CATVを全行政区を対象に整備・普及に努めてきたところでありますが、高度情報化社会の到来に十分に対応できるよう、今後とも情報通信基盤の整備を推進してまいります。 また、パソコンの急速な普及とそのネットワーク化に対応し、昨年11月より、大阪市都市工学情報センターからインターネットを通じて大阪市に関する情報の発信を開始したところでありますが、より一層積極的な情報発信に努めますとともに、ノウハウをもった職員の英知を活用できるような、情報化に向けた体制についても検討してまいります。 21世紀の大阪のまちの発展の基礎となるこれらの都市基盤の整備を、長期的・総合的視点に立って、積極的に推進してまいります。 次に、大阪経済の活性化方策についてでございますが、長引く景気の低迷やアジア諸国の経済成長、円高など、国際的な経済環境の変化の中で、経済成長の鈍化、事業所数の減少が見られ、いわゆる産業の空洞化も懸念される時代となっております。こうした事態に対処し、経済の活力の維持・発展を図ってまいりますためには、国際化の進展や産業構造の変化に対応していけるよう、既存産業の高度化を図りますとともに、新たな産業を育成していくことが重要であると考えております。とりわけ、チャレンジ精神にあふれた企業家を支援するため、ビジネスインキュベータ事業の充実を図りながら、資金支援、人材育成、市場開拓、研究開発支援など、多面的な創業支援策を展開する一方、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、21世紀を先導する映像・情報関連施設の整備にあわせて、これらを活用したマルチメディアなどの情報産業の育成策を講じますとともに、産学官の連携を図りながら、環境や健康・福祉に関連する、次代を担う産業の振興に積極的に取り組んでまいります。 また、本格的な国際化時代を迎え、人・もの・情報の交流が活発になってくる中で、新たな視点からの経済活性化を進めていく必要があります。そのため、大阪の歴史や文化を活用するとともに、都市の魅力の創造に努め、ビジターをもてなす集客産業の振興を図るなど、内外から多くの人々が訪れる国際集客都市づくりを進めることにより、多様なビジネスチャンスを生み出してまいります。 さらに、中小企業の海外ビジネスの拡大支援、技術協力や人材育成など、幅広い経済交流事業を実施することにより、アジア太平洋地域との相互の経済発展に貢献してまいりたいと考えております。 中央公会堂の保存・再生についてでございますが、公会堂は秀麗な外観や内部意匠を持つ、日本の近代建築を代表するものとして高い評価を受けており、長年多くの市民に愛され、今や大阪を代表するシンボルの一つとして親しまれており、保存・再生について、多くの御要望や御寄附もいただいております。そこで大阪市といたしましては、創建当時の姿を保ちながら、地震に強く最新の設備も導入し、市民の方々に活用していただけるよう、さまざまな角度から検討を進めてまいりました。今後、議員御提案の趣旨を念頭におきながら、設計段階におきましても、効率的な方法についてさらに検討を加え、市会の皆様を初め市民の方々のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○議長(徳田育久子君) 66番物部秀恒君。   (66番物部秀恒君登壇) ◆66番(物部秀恒君) 私は、公明大阪市会議員団を代表いたしまして、磯村市長が表明されました市政運営の基本方針に対し質問を行い、市長の所信をお伺いしていきたいと存じます。 さて、市長は、先般の所信表明でも、市民とともに歩む市政を進める旨の決意を披瀝されました。言うまでもなく、市政の主人公は市民であり、市民が等しく願うのは、人間本位の市民の立場に立った、対話重視と決断力・実行力のある姿勢を貫かれることであります。260万市民の切実な要望にこたえ、市民が誇りを持ち安心して暮らせる大阪市のために、全力を傾注されるよう、我が党議員団は強く期待するものであります。 そこでまず、市民とともに歩む市政をどう進められるのか、市長の基本姿勢をお尋ねし、以下の点について御所見をお伺いいたします。 まず第一に、施策推進のための行政体制についてお尋ねをいたします。大阪市では、「総合計画21」に基づいて、関西国際空港関連の都市基盤整備やスポーツ施設整備、高齢者福祉対策など、まちづくりを積極的に進めてこられましたが、バブル経済崩壊後、これまでのような経済成長が見込めない中で、大都市として増え続ける行政需要に的確に対応するため、従来の右肩上がりの経済からの発想の転換が必要であり、より一層円滑な行財政運営が求められております。このため、施策を展開するに当たっては、真に必要な施策を計画的・効果的に推進するとともに、タテ割行政の弊害に陥ることなく、高齢化・国際化・情報化施策など、複数の所管にわたる課題についても、施策の総合調整等を十分に図り、生活者の視点に立って効果的な市政を進め、生活者優先の、活力あふれる大阪を築いていくことが重要でございます。 大阪市では現在、21世紀までの5カ年間で取り組む主なまちづくり施策を明確にする総合計画21推進のための中期指針を検討しておられます。中期指針を着実に実現させるためには、従来にも増して簡素で効率的な行財政運営を推進するとともに、既存の施策との整合性を図りつつ、優先順位を選択するなど、総合的な施策の調整を行う必要があると考えるのでありますが、市長の御所見をお伺いをいたします。 次に、防災対策についてお伺いをいたします。戦後の我が国における地震災害の中で、最大の被害をもたらした阪神・淡路大震災から、この1月17日で丸1年がたとうとしております。市長は、市民の安全を守る最高責任者になられたわけでありますが、まず早急に取り組んでいただきたいのは、災害時の情報伝達体制の整備、初期初動体制の強化、防災資器材の整備、食糧・飲料水等必要物資の備蓄など、災害応急対策の充実であります。また、防災中枢拠点の整備を早急に推進していただくとともに、自主防災組織の育成、高齢者・障害者などに視点を置いた救助体制の整備にも努めていただきたいのであります。 今回の震災で見られたように、電気・ガス・上下水道などのライフラインや、道路・橋梁・鉄道などの都市の基盤施設の大きな被害は、市民生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼします。したがいまして、都市の基盤施設の耐震性を向上させることが特に必要であるとともに、広域避難場所や避難路及び避難所となる公園や公共施設の整備、都市の不燃化の促進、民間建築物の耐震性の向上など、災害に強いまちづくりを総合的に推進していくことが必要であります。 また、本市にも、歴史も古く課題も多い密集市街地があり、大地震に遭えば相当の被害が予想されます。そこで、大阪市として、市域の密集市街地の再開発について、どのように取り組んでいこうとしているのか、また、その再開発に当たっては、その地域の古くからのコミュニティを生かしながら、災害に強いまちに変えていかなければならないと考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。 次に、住宅政策についてお尋ねをいたします。市民が安心して、快適に募らせるためには、少ない負担で良質な住宅に住めるようにすることが大切であります。市内の地価は低下傾向にあるとはいうものの、なお高い水準にあり、良質な分譲住宅の取得は、まだまだ困難な状況であります。また、民間の賃貸住宅の家賃は周辺都市に比べて高いため、ライフサイクルの推移とともに、市外に転出をせざるを得ないのが実態だと思います。現に、平成7年国勢調査の速報では、この5年間で2万1,000人余りの人々が、人口減少として報告されております。活力あるまちづくりを進めるためには、今後の大阪を支えていく若い世代が、市内で住み続けられるような住宅政策を、生活者の視点に立って積極的に進めることが重要であります。 そのためには、適切な住居費負担で市内に住めるよう、市営住宅の建替えを強力に進めるなど、良質な公共住宅の建設を推進することが必要であります。また、「民間すまいりんぐ」など、中間層向けの住宅についても、家賃の軽減措置を講じるとともに、供給量の拡大を図ることがぜひとも必要であります。 さらに、安全で快適な住環境の整備を進めることも重要な課題でございます。市内には戦前からの長屋や木造アパートなど、古い住宅が約15万戸も残っており、老朽住宅の建替えをさらに強力に促進する施策が重要であります。また、建替えに当たっては、長く住んでおられるおとしよりが、住み慣れたまちに引き続いて住めるよう、さらに、親子3世代が同居・近居できるような住宅施策の充実が必要であると考えます。市民が安心して快適に市内に定住できるようにするために、今後の住宅政策をどのように進めていこうとされているのか、市長の御所見をお伺いをいたします。 次に、少子・高齢化社会対策についてお伺いをいたします。今日、出生率の低下、核家族化の進行や都市化の進展、家庭や地域の養育機能の低下等の環境の大きな変化は、子どもたちの健全な成長発達に、さまざまな影響を与えております。とりわけ、出生率の低下は、社会経済全体に深刻な影響を及ぼすことが予測され、本市においては、人口回復策としての子育て支援施策の充実が重要な課題となっております。 子育て支援施策の推進には、福祉・保健・医療・雇用・教育・住宅など、広範な視点に立った総合的・計画的な施策の展開とともに、地域社会の中でのきめ細かな支援が必要であると考えます。現代の子どもたちは、安心して伸び伸びと遊べる場所や時間が少なく、また、若い親たちは、子育てに不安を抱くとともに、身近なところで多様なサービスを求めております。また、学校においては、いじめや登校拒否等の深刻な問題も出現し、文部省はスクールカウンセラーの設置を事業化しております。子どもたちの健全育成とともに、子どもたちの育つ場である家庭や地域への支援をどのように進めていくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、高齢化対策について、大阪市では、「大阪市高齢者保健福祉計画」に基づき、各種の施策を着実に推進しておられますが、例えば、特別養護老人ホームの整備については、いまだに待機者が多い現実をみれば、今後もさらなる整備充実が必要であります。また、おとしよりが住み慣れた地域で安心して生活できるようにするためには、区拠点型を初めとした地域在宅サービスセンターの整備充実も欠かすことはできないと考えています。一方、在宅サービスを行うホームヘルプサービスの充実も必要であり、よりよい人材を集めるための処遇改善を図るとともに、24時間を視野に入れた介護体制の確立が求められております。 国においても、平成7年度から「新ゴールドプラン」に基づく施策がスタートしており、本市においても、市民ニーズに的確にこたえるハード、ソフト両面にわたる高齢者保健福祉計画の見直しが緊急の課題であると考えます。市長の御所見をお伺いをいたします。 次に、経済と文化が社会発展の原動力と言われておりますが、まず、経済に関して、緊急の課題である大阪経済の活性化策についてお尋ねをいたします。バブル経済崩壊後、景気の低迷が4年の長きにわたっております。年が改まって、景気回復の期待が高まっておりますが、中小零細企業の経営環境は依然厳しく、売上・受注の不振、競争の激化など、さまざまな困難を抱えているのが現状であり、引き続き機動的な景気対策の実施が必要でございます。さらに、景気の低迷に加えて、我が国企業の海外進出の加速、円高を背景とした価格競争の激化により、産業空洞化の懸念が高まっております。また、完全失業率が過去最高の3.4%を記録したことにみられるように、雇用情勢が悪化し、新規学卒者の就職難は社会不安ともなっております。 このような中で、大阪経済はバブル崩壊後、経済成長率が全国平均よりも低い数値で推移するなど、活力の低下が見られるところであり、今こそ国際化や成熟化、技術革新の進展といった大きな社会経済環境の変化を見据え、21世紀に向けた明確な発展のビジョンをもった経済活性化策がぜひとも必要であり、ベンチャービジネスや新たな集客産業などの育成策が求められております。中小零細企業の方々は、資金、人材、技術、情報など、限られた力の中で、新製品の開発、コストダウン、新たな取引先や市場の開拓に必死の努力をされております。こういった必死の努力を支援するとともに、中小零細企業者が自らの事業発展の道筋が見え、将来に夢が持てる大阪経済の活性化策を強く望むところであります。 同時に、関西国際空港の開港、APEC大阪会議を契機として、今後、アジア太平洋地域との人・もの・情報の交流がより一層拡大していく中で、にぎわいとビジネスチャンスを生み出し、中小零細企業の振興と大阪経済の活性化を図るとともに、アジア太平洋地域全体の発展にも寄与していくことが重要でございます。 今後の大阪経済の発展を見据えた中小零細企業の振興と経済活性化策について、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、生涯学習、女性施策の推進、市民文化の振興についてお尋ねをいたします。近年、生活の向上や自由時間の増大により、文化や学習に親しむことを通じて、市民1人1人が、真に豊さとゆとりを都市生活の中で実感し、充実した生き方ができるようにすることが重要になっております。そのために、学校施設を活用した生涯学習ルームは、一層地域活動の拠点として整備・拡充を図る必要があります。同時に、生涯学習ルームを初め各種の社会教育施設などを支援し、市民の学習活動を総合的に推進していく中核施設としての、総合生涯学習センターを早期に整備する必要があります。また、女性の社会参加と自立を支援する拠点として整備を進められておられる女性いきいきセンターも、中枢機能を持つ中央館を早急に整備し、これら施設との連携を確立する必要がございます。さらに、いつの時代にも、若者は鋭くそしてしなやかな感性を持って新しい文化を生み出すものであり、こうした若者たちの創造活動を積極的に支援していく必要があると考えております。 一方、21世紀を迎えるに当たって、大阪を世界的レベルの文化都市として成熟させていく必要があり、そのために、近代美術館や舞台芸術総合センターなど、世界一級の文化施設の早期整備が望まれるところであります。また、市民が身近に文化や芸術に親しむことのできるような環境づくりとして、市内のさまざまな博物館を結ぶネットワークづくりを進めることが、文化の薫り高い都市を目指す上で大切であると考えます。市長の御見解をお伺いいたします。 市民が誇りにできるまちづくりを進めていただきたいという熱い思いを込めて、市政運営の基本的な姿勢について質問をしてまいりました。こういったまちづくりの集大成が、必ずや、2008年オリンピックの開催となって花開くと確信をいたしております。大阪オリンピックの招致・開催に当たりましては、それに相応した競技施設の整備を初め、交通アクセス等の都市基盤を整備することが必要でありますし、また、国際競技大会を積極的に招致し、ノウハウを蓄積すること、人材の育成を図ること、これらを通じてオリンピック開催への実績を積み重ねることが大切であります。しかし、何よりも大阪に住み、働く人々が、生涯を通じてスポーツに親しみ、健康で生きがいに満ちた生活を営むことができる、そのことが真のスポーツ・パラダイスの実現であろうと思うのでございます。このような観点で、今後どのように生涯スポーツの振興を図っていかれるのか、市長の御所見をお伺いをいたします。 また、オリンピックを開催するためには、環境に配慮することが重要であります。IOCも開催都市の選考過程において、環境への配慮を評価項目として設けることを表明しております。大阪オリンピックの開催を目指して、環境に配慮したまちづくりに、どのように取り組んでいかれるのか、市長の御所見をお伺いをいたします。 さらに、以上述べたようなまちづくりの実現が、世界中のさまざまな人々が民族や文化の違いを越えて集う、人類最大のスポーツと文化の祭典であるオリンピックにつながると考えるのであります。地球市民のオリンピック実現に向けての、市長の御決意をお伺いをいたします。 以上、新市長就任に当たっての所信表明に対し、多岐にわたってお伺いしてまいりましたが、市長の明確な御答弁を求めて私の質問を終わります。御静聴大変にありがとうございました。(拍手) ○議長(徳田育久子君) 市長の答弁を許します。 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) ただいまの物部議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。 市政運営の基本方針についてでございますが、言うまでもなく市政は市民のためのものであり、市民とともに進めてまいるべきものであります。このため、大阪市政を市民に十分御理解していただけるよう、積極的に市政情報を発信いたしますとともに、市民の御意見、御要望を的確に市政に反映させ、市民とともに歩む市政を実現してまいらなければならないものと考えております。今後とも市民の御期待におこたえするべく、確固たる信念のもとで市政の推進に努め、市民の幸せと大阪市のさらなる発展のため、住んでよかった大阪市、来てみて楽しい大阪市の実現に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。 また、施策推進のための行政体制についてでございますが、本市では、昨年4月に設置いたしました大阪市総合計画・行財政改革推進本部において、今後5年間で重点的に進めてまいりますまちづくり施策を明らかにした、総合計画21推進のための中期指針を策定し、計画的・効果的なまちづくりを推進するとともに、あわせて、簡素にして効率的な行財政運営を図るための行財政改革基本指針を今年度内に策定し、新たな行財政システムの確立、体制整備などを図ってまいりたいと考えております。 今後、施策の推進にあたりましては、物部議員御指摘の通り、生活者の視点といいますか、市民の立場に立って効果的な市政を進めるために、事務事業についてはサンセット方式を活用し、組織・機構についてはスクラップ・アンド・ビルドの考え方を踏まえるとともに、限られた財源、人材を重点的、効率的に活用し、各局の枠にとらわれず、全市的な視点から施策のあり方を検討するため、事業部局と統括・企画調整部局との連携を強化し、さらに、全庁的な推進組織などの活用を図ってまいりまして、総合的な施策展開ができますよう、総合調整機能の充実、強化に努めてまいります。 防災対策についてでございますが、初期初動体制の確立を初め、災害応急体制の強化・充実についてさらに推進するほか、万一の際に機能代替できる防災中枢拠点の整備を図ってまいりたいと考えております。さらに、自主防災組織の育成や、地域への救助用資器材の配備を行うとともに、高齢者や障害者の方々に視点をおいた地域支援システムの充実を図ってまいりたいと考えております。 また、都市基盤施設の耐震性の向上でございますが、安全で快適な市民生活を送り、活力ある社会・経済活動を進めるためには、それを支える都市基盤施設の整備、充実が欠かせません。そのため、今回の震災の教訓を最大限に生かしながら、本市における地震・地盤特性を考慮した耐震設計や補強の技術的な指針を作成するとともに、防災上の観点から、都市基盤施設のあり方も検討してまいりたいと考えております。 密集市街地の再開発でございますが、環状線周辺に広がる老朽木造密集市街地の整備は、地域の防災性向上を目指す上で、大変重要な課題であると認識いたしております。そのため、生野区南部地区では、老朽住宅の建替えとあわせて、道路・公園等の公共施設の整備を一体的に進める事業に着手しております。また、西成区北部地区では、今後、まちづくり委員会を初めとする地元の方々との協議を経て事業を進めてまいりたいと考えております。その他の地区につきましても、緊急度や必要性の高い地区から、順次事業化を図ってまいりたいと考えておりますが、整備に当たっては、戦前からの長屋と商店街や町工場などが一体となった、ぬくもりのある住宅地のよさを生かし、コミュニティ意識があふれる災害に強いまちづくりを目指してまいりたいと考えております。 住宅政策についてでございますが、市民がそれぞれのライフステージに応じて適切な住居費負担で市内に住めるようにすることが必要であり、とりわけ、高地価を反映させない住宅供給の推進が重要でございます。そのため、公有地の有効活用や、公共建築物との合築方式による公社賃貸住宅などの建設を推進いたしますとともに、老朽化した鉄筋コンクリート造住宅も含め、市営住宅建替事業を強力に推進するなど、良質で多様な公共賃貸住宅の建設を進めてまいります。 また、民有地における住宅供給につきましても、住宅供給公社や民間指定法人を積極的に活用いたしまして、民間すまいりんぐの供給量を一層拡大してまいりますとともに、家賃の軽減策につきましても検討してまいりたいと考えております。さらに、定期借地権方式などを活用した新たな住宅供給促進策につきましても検討してまいりたいと考えております。また、若い世代の市内定住を促進いたしますため、新婚世帯向け家賃補助制度を、引き続き推進してまいります。 さらに、市内に数多く残っております民間老朽住宅の建替えを促進することは、今後の大阪市のまちづくりを進める上で、極めて重要であると考えております。そのため、老朽住宅の建替えの際に、建設費に対する補助や融資、従前居住者の方々に対する家賃補助などを行います民間老朽住宅建替支援事業を、より一層推進してまいりたいと考えておりまして、おとしよりなど従前居住者が安心して住めるよう、制度の拡充を検討してまいりたいと考えております。また、同居や近居により、親子3世代が快適に住めるような住宅施策の充実に努めてまいります。 今後とも市民の方々が、安心して快適に市内に定住できるよう、市民の多様なニーズに沿った住宅政策の推進に鋭意取り組んでまいる所存でございます。 子育て支援施策についてでございますが、次代を担う子どもたちの健全な育成は重要な課題であり、福祉・保健・医療・教育・環境・住宅などの分野において、関連施策の充実に取り組んでおります。子育て支援策の推進は、地域の中でのきめ細やかな支援が必要であり、例えば、市民の多様な保育ニーズに対応するため、低年齢児保育や障害児保育、延長保育や一時的保育事業等の充実に積極的に取り組んでまいりますほか、育児の不安に対しては、一昨年9月に開設いたしました、育て!なにわっ子テレホンや、昨年10月から全公立保育所で実施しております育児相談、さらには、民間保育所や教育センター・保健所等、各種の相談機関のネットワーク化を図るとともに、計画を進めています子育ていろいろ相談センターを中心に、相談体制の一層の充実を図ってまいります。 放課後児童等の健全育成策につきましては、いきいき活動育成事業を中心に進めますとともに、子ども会等の団体の育成に努めてまいります。いじめや登校拒否等の問題につきましては、学校教育におけるスクールカウンセラーの配置と、いきいきと学べる学校づくりに努めてまいります。今後とも関係各局の緊密な連携を図りながら、総合的・計画的に施策を推進してまいりたいと考えております。 高齢化社会対策についてでございますが、いきいきエイジング、みおつくしプランの前期の具体的な実施計画である大阪市高齢者保健福祉計画につきましては、計画期間の中間時点である平成8年度に見直しを行いたいと考えております。高齢者の多くは、できるかぎり住み慣れた地域で、安心して生活を送ることを望んでおりますことから、福祉施策は施設福祉から在宅福祉へとシフトしてきております。見直しにあたりましては、特別養護老人ホームの整備充実はもとより、在宅福祉重視の観点から高齢者の実態やニーズを把握し、24時間介護サービスを視野に入れ、地域在宅サービスセンターの整備や、いわゆる在宅福祉3本柱であるホームヘルパー派遣・ショートステイ・デイサービス事業の充実を図ってまいりますが、特に、在宅福祉の要であるホームヘルパーの人材確保につきましては、処遇の改善や質的な向上を図ってまいります。 次に、中小零細企業の振興と経済活性化策についてでございますが、長引く景気の低迷に加えて、アジア諸国の経済成長や円高など国際経済環境の変化によりまして、大阪経済はかつてない困難に直面いたしており、とりわけ、下請企業や小売商店など、零細・中小企業の経営は、売上、受注が減少するなど、非常に厳しいものとなっております。景気の動向に対応して、中小企業の経営安定を図ることが重要であり、公共事業等の推進、受注機会の確保、緊急融資の実施など機動的な施策を、中小企業対策本部を中心に全庁を挙げて推進してまいります。 他方、こうした当面の対策を実施いたしますとともに、中小零細企業に事業発展の道筋を示すため、国際化の進展や産業構造の変化など、大阪経済を取り巻く社会経済環境変化の方向を見定め、21世紀を見据えた中長期的な視点から経済の活性化に取り組んでいくことが必要であります。現在、その指針となる大阪市産業振興中期ビジョンを、中小企業対策審議会で御検討いただいているところでありますが、経済活動の基盤であるものづくりの支援や、大阪の伝統でもある商いのダイナミズムを強化するとともに、国際化の進展の中から、さまざまな事業発展のチャンスを生み出すことが重要であると考えております。 具体的には、企業経営を支える人材の育成と確保を初め、新技術・新製品の開発や市場開拓の支援を進めるほか、商店街・小売市場の共同施設の整備やイベント開催など、ハード・ソフト両面から活性化を図り、大阪経済を支える中小零細企業の振興を図りますとともに、多面的な操業支援策を展開することにより、ベンチャービジネスなど次代を担う新たな企業・産業を育成してまいります。 また、アジア太平洋トレードセンターなどの基盤的施設や、ビジネスパートナー都市などの経済ネットワークを活用し、海外との取引、人材や技術の交流を促進いたしますとともに、産業、文化、歴史など、大阪の多様な都市魅力を情報発信し、国際集客都市として内外から多くの人が訪れ、にぎわいあるまちづくりを進め、ビジネスチャンスの拡大を図るなど、国際化時代に対応した中小企業の振興と大阪経済の活性化策を展開してまいりたいと考えております。 生涯学習の推進についてでございますが、近年人々は、真の心の豊かさを求め、1人1人が生きがいとうるおいを持って充実した生活を営むことを求めております。そのため、市民がいつでもどこでも楽しく学び続けられることができる環境づくりを目指して、地域には身近な学習の場である生涯学習ルーム、また、ターミナルには市民学習センターなどの拠点施設の整備を行ってまいったところでございます。引き続きこれらの拠点施設の拡充・整備を図るとともに、総合生涯学習センターにつきましては、生涯学習を推進していく中核機能を持つ施設として、できるだけ早く整備を図り、体系的な生涯学習支援システムづくりに努めてまいりたいと考えております。 女性施策の推進についてでございますが、女性の社会参加と自立を支援する拠点として、現在整備中の女性いきいきセンターに関しましては、調査研究機能を有する総合センターとしての中央館を早期に整備し、総合生涯学習センターなど関連施設とも十分な連携をとりながら、総合的な事業展開を図ってまいりたいと考えております。 市民文化の振興についてでございますが、明日の大阪を担う若者の感性・エネルギーを生かした活力あるまちづくりに取り組むためにも、音楽や演劇などの練習場を整備するなど、新しい文化の芽を育て上げ伸ばしていくための支援を積極的に推し進めてまいりたいと考えております。さらに、大阪の歴史と文化をテーマにした新博物館、考古資料センターを初め、近代美術館、舞台芸術総合センターなどの文化施設の整備を精力的に進めてまいりますとともに、市内の各種の特色ある博物館を結ぶネットワークづくりに努めるなど、市民の誰もが暮らして楽しい、生きがいのあるまちづくり、文化や芸術を楽しみ、創造できるような文化創造都市づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 生涯スポーツの振興についてでございますが、本市におきましては、皆様が身近にスポーツに楽しんでいただくため、1区1館構想に基づく地域スポーツセンター、温水プールの建設や市長杯各種大会、市民スポーツの祭典などの市民参加イベントの開催を通じて、生涯スポーツの振興を図ってまいっております。今後、これらの施策を一層充実し発展させてまいりますとともに、今後完成予定の新中央体育館や長居陸上競技場などの施設を活用しながら、各種の国際競技大会などを開催し、市民のスポーツに対する関心を高めることにより、スポーツ活動の活性化を図り、スポーツパラダイス・大阪の実現を目指してまいりたいと存じます。 環境に配慮したまちづくりについてでございますが、環境に配慮したまちづくりを進めることは、開催都市に選定されるための要件として非常に重要であります。本市におきましては、昨年4月に施行いたしました環境基本条例の基本理念である、全ての市民が安全で健康かつ快適な生活を営むことのできる良好な都市の環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくことを実現するため、現在策定を進めております環境基本計画により、環境の保全及び創造に関する施策を推進するとともに、ローカルアジェンダ21おおさかにより、市民・事業者・行政が一体となった地球環境を守る身近な行動に取り組み、環境に配慮したまちづくりを目指してまいります。 地球市民のオリンピックの実現についてでございますが、2008年の大阪オリンピックを招致・開催するため、スポーツパラダイス・大阪を実現するとともに、環境に配慮したまちづくりを推進し、オリンピックを開催するにふさわしいまちにしたいと考えております。本年はJOCに立候補いたします。大阪市民の誰もが大阪でオリンピックを開催してほしいと願うようなまちづくりを進め、地球市民のオリンピックを目指して、市民が主体となって大阪らしいオリンピックが開催できるよう、市民運動のさらなる盛り上がりのもとに、積極的に招致運動を展開してまいりたいと考えております。 以上でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○議長(徳田育久子君) 56番野村清君。   (56番野村清君登壇)
    ◆56番(野村清君) 私は、日本社会党・市民連合大阪市会議員団を代表しまして、磯村市長の所信をお伺いいたします。 市長は先般の施政方針で、すべての市民が快適で豊かな生活を楽しみ、誰もが住みたいと願うまちづくりのため、市民とともに歩む市政を進める、このことを基本姿勢とし、将来を見通した都市政策と、市民生活の充実を目指した行政を進めると、市政運営について表明をされました。我が議員団としても、この市長の基本姿勢と考え方を積極的に支持しその実現に協力していく立場と、開かれた市政のためにより一層の市民参加を図っていくという観点で、若干の質問をいたしたいと存じます。 まず最初に、防災対策についてお尋ねをいたします。あの幾多の尊い生命と貴重な財産が失われた阪神・淡路大震災から、はや1年を迎えようとしています。大阪市においては、震度7クラスの直下型地震も想定して、大阪市地域防災計画策定委員会を設置し、ハード、ソフトの両面から大阪市地域防災計画の抜本的見直しを進められております。しかしながら、具体的に大震災の教訓をいかに生かして、どのような災害予防対策、災害応急対策を実施されておられるのか、市民にはいま一つ伝わってこないように存じます。市民が安心して暮らせる災害に強いまちづくりをするためには、都市の耐震化、不燃化を初め、避難場所・避難路の整備・耐震性貯水槽の整備・施設の耐震化の推進・消防力の充実・総合防災情報システム等の構築などのハード面の整備について、早急に推進していくことが重要であります。 また、ハード面の整備と同様に重要なのがソフト面の充実であります。これはすなわち、職員や市民1人1人にかかる災害に強いひとづくりであります。大震災の際には、大阪市においても、特に西淀川、此花、淀川等を中心に、かなりの被害が発生していたにもかかわらず、当初は職員の参集が遅れたり、被害状況の把握が十分でなかったなど、対応のまずさが指摘されたところであります。災害が起こった場合の危機管理体制を確立し、職員は、市民は、また各企業は、どう対応すればいいのか、また、そのために、平常時にどう準備していればいいのかをマニュアル化し、それに必要な研修、訓練等を行っていかなければ、今もし仮に災害が発生した場合にも、十分な対応ができないのではないでしょうか。災害は忘れたころにやって来るのでは困るのです。いつも災害を忘れずに備えておくことが必要であります。 大震災以後、多くの犠牲の上に立った貴重な教訓を、ハード・ソフト両面について、いかに生かし、今後どのように災害に強いまちづくりを進めていこうとされているのか、市長のお考えをお伺いいたします。 次に、地方分権についてお尋ねをいたします。今や地方分権は時代の趨勢であり、明治維新、戦後改革に続く第3の改革といわれてます。我が党は今日まで、真の地方自治を確立するために、地方分権・地方主権の推進を主張してまいりましたが、国民の力強い運動の中で、昨年5月には地方分権推進法が成立し、7月には地方分権推進委員会が発足、その中で、国と地方との役割分担、機関委任事務、国の関与、必置規制、補助金等について、現在調査、審議しており、今年3月頃に中間報告、さらにはこの秋には政府への勧告が出されることになっています。また、本市会におきましても、昨年12月に、地方分権の推進に関する意見書を採択したところであります。我が党も、磯村市長がこれまで地方分権の推進について積極的に提唱してこられたことを高く評価しております。それだけに、本市においても地方分権の具体化へ向けて全庁的な推進体制を強化し、全国自治体の牽引役の役割を果たすべきだと思いますが、市長の決意をお伺いいたします。 さらに、本市自身の内なる分権である区政改革についてお尋ねをいたします。言うまでもなく指定都市の区役所は、単なる市役所の出張所だけではなく、まさに各行政区の総合的な行政サービスを担う、区民に最も身近な最先端機関であります。これまでとは異なり、市民と地域社会のニーズは多様化・高度化しており、少子・高齢化社会対策、ひとにやさしいまちづくり、情報化、生涯学習、きめ細かな広聴広報活動など、区単位で取り組む諸事業が増加してますが、これらを遂行していくためには、区政のあり方を根本的に改革しなければなりません。区役所権限の強化や、さまざまな出先機関を含めた区役所機構の改革、総合調整機能の確立、区企画調整費の大幅な増枠など、早急に取り組むことが大切であります。市長のお考えをお伺いいたします。 次に、少子・高齢化社会対策についてお尋ねいたします。急テンポで進む少子・高齢化社会への対応は、地方自治体にとって最も重要で最優先の課題となっています。本市の長寿社会づくりの指針である、いきいきエイジング、みおつくしプランの前期計画として位置づけられております大阪市高齢者保健福祉計画が策定されてはや3年が経過しましたが、高齢社会の進展に伴って、政府はゴールドプランから新ゴールドプランへと、高齢者保健福祉のサービス拡充の方向を示し、また、来年には、公的介護保険制度の創設も、現在検討されております。来るべき高齢社会が、長生きすることが不安な社会ではなく、健康で生きがいのある長寿社会としていくためには、本市においても、ノーマライゼーションの理念を踏まえ、障害者も含めた保健福祉計画として、今日的に見直しを図ることが必要であります。 その際に、高齢者・障害者の参加による定期的な実態調査とニーズの掘り起こしをきめ細かく行い、市民参加のもとに各区ごとの区保健福祉計画を策定すること。また、保健・福祉・医療の連携が、サービス供給現場で図られるシステムづくりを進め、サービス供給現場に可能な限りの決定権を付与すること。相談業務や介護の24時間サービスができる体制を構築すること。保健・福祉・医療の人材確保と人材養成を図るため、福祉人材開発・研修センター、看護短期大学などの整備、充実を図ること。保健・福祉・医療における情報化基本計画の積極的な推進を図ること。住宅、各施設、道路など、ひとにやさしいまちづくりを積極的に進めることなど、総合的に見直しを図るべきだと考えます。 また少子化が進む中で、女性の社会参加、住宅及び生活環境の整備、子育ての経済的負担の軽減、そして、何よりも子どもの視点に立った子育て支援や、子どもの健全育成事業、さらに、個性を伸ばし、ゆとりある教育の実現を身近な地域社会で進める総合的な計画の推進が大変重要な時期にきています。これらの点について市長の決意とお考えをお聞きいたします。 次に、女性施策についてお尋ねいたします。昨年の9月、中国の北京市において、アジアで初めて190カ国、17,000人の政府関係者が参加して、第4回世界女性会議が開催され、そこで真の男女平等実現など、21世紀へ向けての女性施策の国際的指針となる北京宣言と行動綱領が採択されました。我が国ではこれまでも、国内行動計画の策定を初め、女性差別撤廃条約の批准、男女雇用機会均等法の制定など、法制度の整備を図ってきておりますが、長引く不況により、今日の女子学生の就職は、超氷河期といわれるほど困難をきわめており、女性というだけで応募の機会が与えられない、また、面接時に嫌がらせを受けるなど、均等法違反の事例が多発しています。 このような状況に対し、まず大阪市が率先して女性職員を採用され、あらゆる職場へ配置するとともに、管理職への積極的な登用を図り、女性比率の向上に努めることが、民間における現状を改めるためにも必要なことではないかと考えます。本市では、2005年を目標とする、第2次大阪市女性施策に関する基本計画を策定され、積極的に女性施策を推進しておられますが、この中で、政策決定への女性の参画を推進するために、2000年までに各種審議会等への女性委員の登用率が30%となるよう努めるとし、市長公約においても、女性の英知と感性が市政に十分生かされるよう努めるとしておられます。我が議員団としても、真の女性の声が政策に反映されるよう、政策決定の場に多様な分野で活躍される女性の幅広い参画を積極的に推進すべきであると考えています。 また、整備中の女性いきいきセンターについては、女性の社会参加と自立支援のための情報収集・提供や学習・交流の活動拠点として果たすべき役割は、ますます大きくなってきていると考えます。ぜひ、女性いきいきセンター5館全構想の早期実現を図り、総合的な事業展開により、男女共同参画型社会の実現へ向けて取り組んでいただきたいと考えますが、市長の所見をお聞きいたします。 次に、青少年施策についてお尋ねいたします。次代を担う子どもは、私たちや社会にとってかけがえのない存在であり、大阪のまちの将来は、青少年たちの手にゆだねられているといっても過言ではありません。21世紀を担う青少年が、人間性・創造性豊かに、また、社会性・国際性を兼ね備えた社会人に育つ機会づくりが重要であります。 従来から、大阪市では児童館や子ども文化センター、中央青年センター、勤労青少年ホームなど、さまざまな場づくり、機会づくりに取り組んできましたが、これからの情報化社会、国際化社会の進展を踏まえると、最先端の情報機器や設備を備え、青少年が自由に創作活動や芸術活動ができるとともに、世界の青少年との交流の機会が得られる、総合的な都市型青少年交流施設が必要であります。 さらに、子ども・青少年施策は、これまで健全育成、社会教育、児童福祉、健康づくりといったように、さまざまな観点から取り組まれてきましたが、ややもすればタテ割的な施策展開となっています。今後は青少年の立場に立って、施策のあり方、施設の設置・運営などを抜本的に再検討し、さまざまな施策を総合的・体系的に推進すべきであると考えます。 少子・高齢化社会の進展に伴いまして、本市の青少年人口も減少を続けていますが、まちの活性化のためには、青少年が集い交流する、魅力あるまちづくりに取り組むことが急務となっています。今後、総合的な青少年施策をどのように進めていくのか、市長の所見をお尋ねいたします。 次に、大阪の経済対策、とりわけ中小企業対策についてお尋ねをいたします。我がまち大阪は、江戸時代以来、天下の台所と称され、商工業都市として繁栄してまいりました。この経済活動の中心は、言うまでもなく中小商工業者であり、中小企業が今日の大阪経済の基礎を築いたといっても過言ではありません。現在でも大阪市内には、27万事業所のうち99%が中小企業であります。246万のうち181万人の人が中小企業で働く労働者であります。中小企業の活性化こそが大阪経済のかぎを握っているといえます。 我が国の経済は、戦後最悪の失業率など、今も不況の真っただ中にあり、中小企業とその労働者は、厳しい環境に置かれています。本市においても、中小企業の経営基盤の強化を図るため、経営や技術の相談・指導、資金制度の充実に努めてきましたが、近年の経済のサービス産業化は、多種多様な事業活動を生み出しており、これまでの相談や融資に加えて、新しい視点からの総合的な中小企業支援策が必要とされています。最近では、国が景気対策の柱として、ベンチャー企業の育成を打ち出したり、自治体が新たに事業を起こす起業支援に乗り出すなど、地域経済活性化の新しい試みが行われています。 市長は公約として、仕事ができる大阪市に、世界に向けて開かれ、中小企業が活躍し、新しいビジネスに挑戦できる活力に満ちたまちにと述べられておりますが、本市としても創造的な事業活動に対する支援や、多面的な創業支援を行うとともに、中小企業が多種多様なビジネスチャンスを見いだせるよう、総合的な支援が必要だと考えますが、いかがお考えでしょうか。 また、本市自身が、大阪市における最大の事業所であることから、中小企業の事業活動を活発化するために、官公需発注の比率を高め、受注機会の拡大に努めなければなりません。あわせて市長の考えをお尋ねをいたします。 最後に、人権施策についてお尋ねいたします。昨年日本は、世界で145カ国が批准しているあらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約の締結を国会で承認し、近く発効することになりました。この条約の批准によって、我が国は、部落差別問題を初めアイヌ問題、定住外国人問題など、あらゆる差別の撤廃への責任と実行が強く求められています。本市としてもその条約の意を踏まえ、より一層差別撤廃の取り組みが重要と考えますが、市長の見解をお伺いいたします。 また、部落差別問題の解決のために政府が実施し、昨年6月にまとめた同和地区実態把握調査結果でも明らかになった、今なお厳しい差別の実態を踏まえた法的措置、行財政的措置の必要性がいわれています。本市はこれまでも、部落差別問題の根本的解決のための基本となる法律、すなわち基本法の制定が必要との観点から国への要望を行ってきましたが、法制定へ向けて、市長の見解を求めます。 これまでも本市は、部落差別問題の解決は、基本的人権に関わる問題としてとらえ、市政の重要な課題として位置づけ取り組んできましたが、今日の情勢を踏まえ、今後もその解決を目指して、より一層の努力は必要と認識しますが、あわせて市長の見解を求めます。 昨年1月より、国連人権教育の10年がスタートし、国においては昨年12月に、総理大臣を本部長とする推進本部が設置されたところであります。本市においても、国際都市大阪を築くための絶好のチャンスとして、国連人権教育の10年の推進を、積極的に図るべきだと考えます。21世紀に向けて人権尊重が国際的な潮流となっている中で、国内における部落差別を初めとするあらゆる差別を撤廃し、人権を確立することは、国際人権都市大阪を目指す上で、不可欠な問題であります。改めて部落差別問題解決への市長の決意を求めます。 なお、いじめなど教育問題、地球環境問題や廃棄物問題、国際化と情報化問題、交通政策などについても磯村市長の御所見をお伺いしたかったのでありますが、時間の関係上、これらの問題につきましては、今後予定されております決算委員会での質疑や予算市会での代表質問に譲ることといたしまして、以上で私の質問を終わりたいと存じます。御静聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(徳田育久子君) 市長の答弁を許します。 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) ただいまの野村議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。 災害に強いまちづくりと防災対策についてでございますが、阪神・淡路大震災より1年がたとうとしております。戦後最大の被害をもたらした震災から、私どもは多くのことを学ぶ必要があり、それらをもとに災害に強いまちづくりを行うため、昨年3月、大阪市地域防災計画策定委員会を設置し、地域防災計画の抜本的な見直しを図っているところでございます。 議員の御指摘の通り、ハード・ソフト両面からの施策実施が必要であると考えております。ハード面につきましては、道路・橋梁・港湾・河川・鉄道等の都市基盤施設、水道・下水道等のライフライン及び防災活動拠点となる公共建築物の耐震強化や、避難場所・避難路の充実などを行うとともに、都市の不燃化を推進する等、災害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えております。また、ソフト面につきましては、地域における防災力の向上を目指し、自主防災組織の育成・組織化に努め、地域への救助用資器材の配備を行うこととしております。そして、災害時において地域の実情に応じた活動を行うため、地域ごとのマニュアルを作成してまいりたいと考えております。さらに、高齢者や障害者などの援護を必要とされる方々へ迅速な対応を行うため、地域での支援システムの充実に努めてまいりたいと考えております。 一方、災害発生時に迅速な対応を行うため、日頃から職員に対して防災意識の向上と危機管理体制の構築を図り、初期初動体制の確立と、早期かつ正確な災害情報の収集による的確な応急対策活動を実施するとともに、関係機関との連携を強化するため、実戦的な訓練を実施してまいりたいと考えております。 今回の震災を教訓に、災害の怖さを忘れることなく、日々まちの防災力の向上に努め、私どもの世代だけでなく次の世代にも、安全で安心して暮らせるまちづくりを引き継いでまいる所存でございます。 次に、地方分権についてでございますが、民主政治の原点である地方自治を確立するために、また、大阪市が21世紀に向けて個性豊かで活力に満ちたまちづくりを進めていくためにも、地方分権の推進は不可欠な課題であります。 地方分権の推進に当たっては、住民に身近な基礎的自治体である市町村への分権が図られることが基本であり、とりわけ、大阪市のような規模・行政能力を十分に備えた大都市への権限及び財源の移譲がぜひとも必要であります。大阪市として、これまで国家予算要望や個別の行政分野での取り組み等、あらゆる機会をとらえて地方分権の推進に取り組んできたところであり、これをさらに進めてまいりますとともに、大阪市が先導的な役割を果たしつつ、指定都市の連携を一層強化し、大都市制度の拡充強化に向け、国等に対しさらに積極的に働きかけを行ってまいりたいと考えておりますので、市会の皆様方のお力添えを賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。 区政の改革についてでございますが、御指摘のとおり、住民に身近な行政は、基礎的自治体が担うという地方分権の趣旨を踏まえ、住民から寄せられる声を行政に的確に反映させるためには、住民の最も身近な行政機関であります区役所の広聴広報及び相談機能や総合調整機能の強化が不可欠であると考えております。そのためにも、区における総合行政機関としての区役所の位置づけを明確にしつつ、関係局及び区内事業所等と十分連携を深めながら、総合調整機能を一層強め、市民ニーズを踏まえた特色あるまちづくりの推進に、積極的な役割を果たさせるよう、体制整備に努めてまいりたいと考えております。 また、区企画調整費の拡充など、区役所の企画調整機能の一層の充実強化に努め、ひとにやさしいまちづくりを基本としながら、少子・高齢化社会対策、きめ細かな広聴広報活動、生涯学習、情報化等を推進し、区民の要望にこたえられる区行政を推進してまいります。 次に、高齢社会施策についてでございますが、高齢者・障害者を初め、すべてのひとが安心して生活できるやさしさとぬくもりのあるまちづくりを積極的に推進することは、極めて重要なことであります。そのため、ノーマライゼーションの理念に立脚しつつ、急速に進む高齢社会に対応していくために、大阪市高齢者保健福祉計画を、計画期間の中間地点である平成8年度に、高齢者の実態やニーズを把握し、地域の実情を踏まえながら、24時間介護サービス体制をも視野に入れつつ見直したいと考えております。 本市では、市民参加のもとに、保健・医療・福祉が連携し、安全ネットとしての地域ネットワーク委員会活動を初めとする地域在宅サービス提供システムの拡充強化を図っており、区在宅サービスセンターでは、実質的な決定権をもってサービスの提供を行っております。今後、相談・支援活動も含め、簡易で迅速、効果的な展開を図るために、情報の一元化と共有化を推進してまいります。 また、人材の確保・養成につきましては、多様なニーズにこたえるために、高度な専門的知識・技術と豊かな人間性を兼ね備えた福祉人材の開発・研修機能の充実や看護短期大学の整備に努めてまいります。さらに、誰もが安心して行動できる、ひとにやさしいまちづくりを計画的に進めてまいります。 少子化対策につきましては、多様な保育サービスや、相談支援体制の整備、新婚世帯や子育て層に対する住宅対策の推進、身近な遊び場となる公園の整備、医療費等の助成、放課後児童の健全育成、いきいきと学べる学校づくり等、広範な行政施策に関わっており、地域のさまざまな施設や行政機関を有効に活用しながら、きめ細かな対応が必要であると考えております。 今後とも関連施策の連携を十分にとりながら、総合的・計画的に推進し、安心して子どもを産み育てることができるまちづくりに努めてまいりたいと考えております。 女性施策についてでございますが、昨年9月の世界女性会議のNGOフォーラムには、本市からも17名の女性団体リーダーの方々に参加していただき、多くの市民の皆様に北京会議の意義や熱意をお伝えする機会を持ったところでございます。 大阪市の職員採用におきましては、近年女性の比率が増加しており、その職域につきましても、消防吏員や市バス運転手、地下鉄運転職員など、積極的に拡大してまいったところでございますが、さらに民間における雇用拡大に向け、普及啓発にも努めてまいりたいと考えております。また、女性管理職の登用につきましても、政策方針決定の場における女性の参加を進める努力は、公共団体が率先して図るべきであるという観点から、本市ではこれまでも積極的に取り組んでまいりました結果、年々その比率は増加しており、今後とも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 本市におきましては、平成5年3月に策定いたしました第2次大阪市女性施策に関する基本計画に基づき、私が会長を務めます女性施策推進協議会を通じて、全庁的に女性施策を進めております。その一つであります各種審議会等への女性委員の登用につきましては、女性委員の含まれない審議会は既に解消しておりますが、女性委員の登用率は、平成7年現在では19%になっております。平成12年の目標年次までには30%を達成できるよう、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、女性いきいきセンターにつきましては、東西南北4館のブランチ施設において、各館の特色に応じた事業を展開することとしておりますが、さらに今後は、中枢機能を有する中央館の整備を進め、総合センターとしての調査・研究機能を発揮しつつ、今日的な女性のニーズにこたえまして、地域の女性団体やグループとも連携しながら事業ネットワークの形成を図るなど、総合的に事業を展開してまいりたいと考えております。 青少年施策についてでございますが、子どもは親にとってはもちろん、社会にとってもかけがえのない存在であり、21世紀を担う子どもたちが、個性と可能性を最大限に伸ばし、心身ともに健やかに成長することは市民の願いであろうと思います。近年における都市化や情報化、国際化の進展といった社会環境の変化は、青少年の生活と意識にも大きな影響を与えておりますが、青少年を次代の担い手として育成していくことは、私どもに課せられた重要な責務でございます。 本市では従前から、青少年の健全育成を図るため、さまざまな施策に取り組んでまいりましたが、平成4年6月には、魅力的で活気のある都市・大阪をつくりあげていく青少年を育成するための大阪市青少年育成計画、つまりアクティブ・ユース21を策定したところでございます。この計画の重点施策といたしまして、青少年が気軽に集い、学習、芸術、文化など、多様な活動ができるとともに、情報・相談機能を備えた都市型青年施設や、青少年が国際的な理解や感覚を養う国際交流施設の整備などを掲げております。今後、既存施設との関係や、青少年施設全体のあり方について検討しながら、青少年の新しい感覚やニーズに対応した、真に魅力のある施設づくりを進めてまいりたいと考えております。 また、青少年施策につきましては、これまで人口回復、健全育成、子育て支援、健康づくり、生涯学習などといった観点から取り組んできましたが、今後、大阪市青少年育成計画を中心に、これらの施策相互の効率的な調整と総合的な展開を一層図ってまいりたいと考えております。将来の大阪を担う青少年が、豊かな国際感覚を持ち、21世紀にふさわしい能力や感性を身につけるとともに、青少年の創造力とエネルギーが生かせる魅力あるまちづくりを積極的に推進してまいる所存でございます。 次に、大阪の経済対策についてでございますが、我が国の経済は、バブル崩壊後、4年連続して実質ゼロ成長が続くとともに、アジア諸国の経済成長や円高など、国際経済環境の変化に直面しております。こうしたことから、経済成長率が鈍化する一方、大阪の産業構造もサービス経済化が進展するなど、大きな転換期を迎えております。 本市では、景気対策として、これまでにも公共事業等の推進や、経営支援特別融資を実施するなど、中小企業の経営安定を図るための施策を講じてきましたが、今後とも景気の動向に対応して、中小企業対策本部を中心に、施策の機動的な展開に努めてまいります。 大阪経済の発展を担うのは、創造性と活力に満ちた中小企業であります。このため、技術開発力、企画力の強化や、企業経営を支える人材の確保・育成を支援することにより、国際競争力を備えた創造性豊かな中小企業の育成に努めますとともに、国際化の進展や産業構造の変化に対応した経済対策を進めていくことが重要と考えております。 とりわけ、次代の大阪経済の発展を担う新たなビジネスを育成するため、ビジネスインキュベータ事業の充実や、資金支援、人材育成、市場開拓、研究開発支援など、多面的な創業支援策を展開するほか、将来の成長が期待される情報産業や、環境・健康・福祉分野など、新たな産業の振興に積極的に取り組むことにより、中小企業が活躍し、新しいビジネスに挑戦できる、活力に満ちたまちづくりを進めてまいります。 また、工事請負、物品の買い入れなどの発注・契約に際しましては、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づきまして、予算の適正な執行並びに中小企業者の自主的努力の助長に留意しながら、中小企業が受注可能なものは優先的に中小企業者へ発注し、また、可能な限り分離分割発注を行うなど、今後とも中小企業者の受注機会が拡大するよう、さらに努力してまいりたいと考えております。 次に、人権施策についてでございますが、昨年国会で締結が承認されました人種差別撤廃条約は、あらゆる形態の人種差別を根絶するために採択された条約でありますが、人権尊重の観点から、極めて重要な条約であると認識いたしております。この条約の締結は、同和問題や在日外国人問題など、あらゆる差別の撤廃に向けた市民の人権意識の高揚につながるものと考えております。 本市といたしましても、この条約の趣旨・内容について、積極的な啓発に努めてまいりたいと考えております。基本法の制定につきましては、同和問題の根本的解決を図るため、総合的な施策を推進するための基本となる法的措置の実現に向けて、全日本同和対策協議会、大阪府、大阪府市長会等、関係行政機関と連携し、引き続き国に対して働きかけてまいりたいと存じます。 同和行政につきましては、これまでの施策の推進により、今日では大規模地区を除き住環境整備等においては大幅な改善をみたところでありますが、教育・就労等、ソフト面の課題が残されているほか、悪質な差別事象がいまだに後を絶たない状況にあります。こうしたことから、引き続き啓発を初め、残された課題解決のため努力してまいる所存でございます。 人権教育のための国連の10年につきましては、国において昨年12月に、総理大臣を本部長とする推進本部が設置されたことの意義は大変大きいものであり、本市といたしましては、国の動向を踏まえながら、その具体化を図るための取り組みを積極的に推進してまいりたいと存じます。 国際人権都市大阪の実現を目指す上で、同和問題の解決は重要な課題と考えております。今後とも差別がある限り、同和行政は積極的に推進されなければならないとする本市同和対策推進協議会の意見具申を尊重し、市民の理解と協力を得ながら適切かつ効果的な施策の推進に努めてまいる所存でございます。 以上でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○議長(徳田育久子君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(徳田育久子君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。   午後3時11分休憩   午後3時41分再開 ○副議長(浜口晴敏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ○副議長(浜口晴敏君) これより質問を続行いたします。 74番姫野浄君。   (74番姫野浄君登壇) ◆74番(姫野浄君) 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、市長の所信表明に対する質問をいたします。 さきの市長選挙は市政のあり方が問われた選挙でありました。つまり、市政をゆがめている大企業、解同言いなりをきっぱりと改め、地方自治体本来の役割である住民の安全と健康、福祉を優先する市政にするかどうかが大きな争点となったのであります。選挙結果は、革新の候補が得票数、率とも前回、前々回を上回る一方、オール与党の磯村氏は前回の西尾氏を10万票以上も減らし、オール与党の候補者としては過去最低、対有権者比で17%の得票率となったのであります。これは、大企業と解同優先で、市民の暮らしや福祉をないがしろにしてきたオール与党政治への厳しい審判と言えるのであり、この結果を真摯に受けとめて、市政に生かすことが重要なのであります。まずこの点を指摘し、以下、大阪市が取り組むべき具体的な問題について、4点質問いたします。 第1は市民の財産と安全を守る問題であります。日本のような地震国では、生命、財産を震災から守る対策は政治が真っ先に行うべき課題であります。ところが、阪神大震災によって、歴代の自民党政治とオール与党政治がこの責任も果たさず、安全神話を振りまいて、いかに危険な国土づくりを行っていたかが鮮明になったのであります。我が党は、これまで一貫して、震災から生命、財産を守るため、すべての開発や都市計画の前提として防災の見地を貫き、防災拠点や避難広場、公園・緑地の増設、ライフラインの地下共同溝化など地震に強いまちづくりを進めること、消防力の飛躍的な強化をはじめ震災時の即応体制の確立を図ること、観測と地震予知の強化という総合的、抜本的な対策を提起してまいりました。今日でもこの見地が重要でありますが、大阪市でいえば、当面、即応体制の強化として、消防職員やポンプ自動車の国基準の100%配備や全小学校区への耐震型貯水槽の設置、水道管の耐震化を行うとともに、地震に強いまちづくりとして、民間住宅の耐震工事への補助や臨海部の埋め立てによる巨大開発の見直しを提案するものです。市長は、所信表明で、市民の安全と財産、健康を守るという基本的な責務の重大さを改めて痛感したと述べられましたが、この言葉が本当であれば、これらは直ちにやれるはずです。なお、地域防災計画の見直しは、資料の公開と住民参加を保障したものに改めるべきであります。 また、被災者の生活再建の問題でありますが、本市でも、大きな被害を受け、今なお仮設住宅などに住んでおられる方は、761世帯にも及んでいます。しかし、市長の所信表明では、この震災被災者に対してどのような責任をもって当たるかには一言も触れられておりません。市長、被災した市民がプレハブの仮設住宅で今どんな生活をされているか、ご存じでしょうか。私は、仮設住宅に何度も足を運び、被災者の方々の声を聞き、その都度、改善を申し入れてまいりましたが、先日は、寒いすき間風が入ってくるので、エアコンをかけても、電気ストーブをつけても、寒くて寝られない、また、ユニットバスがあるが、湯を入れてもすぐ冷たくなり、入れないとの訴えを聞きました。これではとても人間が住める住宅とは言えないのではないでしょうか。市長自らが仮設住宅に出向いて実情を聞くべきでありますが、被災者の切実な願いは、一日も早く市営住宅に入れてほしいということ、当面、暖かく過ごせるようにしてほしいということであります。これにこたえ、市営住宅の地元建設や現在の仮設住宅の暖房の改善を行うよう求めるものです。また、被災者の生活再建を考えたとき避けて通れないのが個人補償制度の確立であります。実際、被害を受けた方々が自力で生活を再建する基盤を失い、展望を失っているとき、これを救済するのが政治の責任です。憲法第13条の生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は立法、その他の国政のうえで最大の尊重を必要とするどの規定から言っても、これは当然であります。本市議会は被災住民に対する個人補償などの支援措置を国に求める意見書を既に採択していますが、市長として個人補償を政府に申し入れるよう求めるものです。見解を伺います。 2点目は、住み続けられる大阪をつくる問題です。 さきに発表された国勢調査速報によると、大阪市の人口はさらに減少し、260万人となっています。ピーク時と比べ、実に55万人もの減少であります。これは、地価高騰や環境悪化などとともに、大阪市の住民サービスの低さも大きな要因の一つとなっています。その象徴とも言えるのが子育て期の家庭の市外流出です。市長選挙の際の新聞でも、大阪市の学童保育と松原市との違いが載っていました。松原市に引っ越したある家庭の父親が、「市内では学童保育は文化住宅の1室だったのが、松原では子どもが通う小学校がそのまま学童保育所の場になっていて、運動場で一輪車の練習を子どもが伸び伸びやっている姿を見て、本当に引っ越してよかった」との感想を述べている記事でした。これが実態です。市長、あまりにも貧しい大阪市の学童保育対策を抜本的に引き上げること、当面は、空き教室などを提供する、あるいは補助金を3倍化するなどの改善を直ちに行うよう求めますが、御答弁ください。 さらに、人口減との関係で、市営住宅の問題です。市長は新聞紙上で、市営住宅はつくればよいというものではないと言っていますが、これは、市営住宅の申し込み倍率が毎回何十倍というほどの強い要望になっていることからいって、絶対に認められません。私は、市長のこの発言の撤回を求めるとともに、市民の要望の強さと人口増によるまちの活性化のためにも、今後5年間に1万5,000戸の市営住宅建設を行うよう求めるものであります。用地は大正区の鶴浜埋立地や平野区ほかたくさんあります。市長の決断次第であります。答弁を求めます。なお、マスタープランの人口280万人の目標は堅持されるのかどうか。その場合どのようにして達成しようとしているか。あわせて御答弁ください。 第3に、不況から中小企業を守る問題です。 今日の不況は、一握りの巨大企業が巨額な貿易赤字をためこみ、円高とコストダウンの際限のない悪循環を続け、1ドル100円台という異常円高を招いたこと、85年のプラザ合意以降の超金融緩和策よるバブル経済とその崩壊をもたらしたことなどによって深まってきたものであります。そして、巨大企業と巨大銀行のルールなき資本主義ともいうべき行動が不況をつくり、長引かせているのであります。したがって、ここにメスを入れることが、今、求められているのであります。ところが、市長は、市長選挙の際、井上候補は大企業はリストラするな、仕事もするなと言っているなどと言って、日本経済の健全な発展のかぎともなっている巨大企業の民主的規制の提案を非難しています。しかし、こうした大企業への民主的規制はヨーロッパなどでは既に実施されている問題であります。例えばリストラアセスメント条例であります。これは、大規模な人減らし、生産の縮小、海外進出を、計画段階で国と大阪市に提出させ、その影響を調査した上で、変更や中止を勧告できるようにしようというものですが、既にEUでは、企業に対して再配置や閉鎖、大量解雇など従業員の利益や企業全体に重大な影響を及ぼす可能性のある問題について、労使の協議を行うことを義務づけています。こうしたことから言っても、さきの発言は取り消し、リストラアセスメント条例を制定する、そして産業の空洞化にも歯止めをかける、そういう態度をとるべきではありませんか。 このほかにも、一方的な発注打ち切りや単価の切り下げなど、大企業の下請けいじめをやめるよう大企業に求めること。中小企業が既に借りている融資の金利の引き下げを銀行に働きかけること。あるいは、女子学生の就職差別等、目にあまる女性差別の中止を申し入れること。官公需の中小企業向け発注をふやすことなどを求めるものでありますが、答弁ください。 第4に、高齢者福祉についてです。 市長は、出馬表明以来、福祉に関して安全ネットづくりなるものを打ち出しています。内容は、大阪は助け合いの精神が旺盛なまち、お互いが支え合いながら、本当に困っている人は大阪市が助けましょうというもので、結局、憲法で規定された国の責任による生存権保障を否定し、戦前の救貧思想に基づく自立・自助・相互扶助という臨調路線と変わらないものであります。しかも、市長のこの発想の原点には、大阪市内の御老人は結構人生を楽しんでいる、みじめな暮らしではないと言ってはばからない現状認識があります。 そこで、リアルな実態を見てみます。ここに平野区のある地域ネットワーク委員会がつくった平成7年度高齢者実態調査の報告書があります。この報告書には、「けがや病気で倒れたときの不安は大きく、薄氷を踏む思いで暮らしている方が非常に多く、背筋が寒い」そして、「進まぬ福祉行政や少ない公的サービスに怒りすらおぼえる」と書かれています。市長、これは大阪市の肝いりでつくられた地域ネットワーク委員会の報告です。背筋が寒くなるような状況に置かれている高齢者の実態を浮き彫りにしています。市長の、「大阪市の老人は楽しんでいる」との認識とは大違いです。こんな誤った認識に立ち、公的サービスの充実もせず、自立・自助の相互扶助を押しつけることはやめるべきであります。 私は、市民から強い要望が出されながら、千葉市や広島市の半分しかない特別養護老人ホームを大量建設し、2,400人の待機者が一日も早く入れるようにすること、在宅介護手当の支給を直ちに行うよう求めるものです。さきの発言や安全ネットなる構想の撤回要求とあわせて答弁ください。 次に、選挙で大きな問題となった巨大開発優先と解同言いなりを改める問題についてであります。選挙では、大阪市があわせて2,700億円もの巨費を投じて建設したワールドトレードセンタービルやATCビルが問題になりました。つまり、人口40万人の豊中市の予算の2年分に相当する巨費をかけて建設したものの、実際には進出企業のめどもなく、巨大なオフィスビルをつくったため、ATCビルは初年度55億円の赤字を出し、WTCビルも初年度から30億円の赤字見込みとなり、その赤字の穴埋めに公的資金を使う、そういうやり方がよいのかということが大きな問題となったのであります。実際、大阪市は、95年度に、事実上の赤字補てんのために、両ビルあわせて102億円も予算化していると言われています。市民1人当たりにすると4,000円もの公金をつぎ込むというのであります。今、国では住専の不良債権処理に国民1人5,500円の公的資金を使うことが大きな問題になっていますが、大阪市の乱脈とも言える計画によって生まれた赤字を大阪市の公金で補てんするということは、住専処理と何ら変わらないのではありませんか。こうした補てんは中止するとともに、臨海部の開発や土地信託などバブルの発想に基づく巨大ビルの建設などは、中止も含めた見直しを行うべきであります。見解を求めます。 第2にお聞きしたいのは、同和行政についてであります。 大阪市は同特法以来の26年間に実に1兆円を超える巨費を投じてきました。超デラックスな施設建設や至れり尽くせりの個人給付事業の実施、一般校の3倍にもおよぶ教員の加配など、極端な逆差別行政が行われてきました。しかも、解同言いなりで、行政の主体性もなく、乱脈な行政が続けられてきました。そして、暴力的糾弾路線が公然と持ち込まれ、自由な意見交換が大きく妨げられてきたのであります。今、こうした大阪市の同和行政について強い批判が巻き起こり、さきの市長選挙の中では怒りの声が井上事務所に多数寄せられたのであります。運転免許の取得費に補助が出るのは本当か、同和住宅が空き家で放置されているとは信じられない、同和行政をやめて平等な市政をやってください、こういう声であります。そして、今や自民党議員の中にも公然と、大阪市の同和行政は目にあまる、共産党の言っていることは正しいと発言する人たちが出ているのであります。同和行政の終結は今や世論となっているのであります。ところが、市長は、解同の決起集会で、法律の期限が切れようが切れまいが、やると、半永久的に同和事業を続ける決意表明をしています。周知のように、今日、同和行政の目的である格差是正は基本的に達成し、誤った認識や偏見も急速に薄らいでおります。何よりも人間の尊厳を守り、民主主義を徹底していくならば、部落問題解決への展望が開けるという新たな段階に到達しているのであります。こういう状況のもとでなお不公正・乱脈な同和行政を続けるということは、単に市民の理解と協力が得られないだけではなく、同和地区を一般社会から分離、固定化させるとともに、地区住民の自立意識や生活向上意欲を阻害し、逆に部落問題解決を妨げることになるのであります。市長は、「差別のある限り同和行政を行う」との「大阪市の同和行政の基本的指針」を撤回し、時代の流れに沿い、本市同和地区の実態に即して、同和事業を文字どおり終結させ、一般施策へ移行させるよう求めるものであります。そして、残事業は精査し、速やかに打ち切るよう主張するものですが、明確な答弁を求めます。 最後に、政治姿勢にかかわる問題です。 市長は、所信表明で、「市民の御意見、御要望を市政に反映させ、市民とともに歩む市政を進めてまいります」と述べましたが、本当にこれを実行するのかどうかということです。前西尾市長は、4者懇と称して、関経連会長、大商会頭、知事と毎月会談したり、解同府連との交渉には市長、3助役、全局長を揃えて参加したりしていましたが、一方、公害患者会や保育運動連絡会や障害者作業所連絡会などの代表には一切会わないという態度をとり続けてきました。要は、意見を異にしている人たちとは会わないという民主主義に反する態度をとり続けてきたのでありますが、磯村市長はどのようにされるのか。市長であるなら、市政に対して切実な要望や意見を持つ市民に会い、率直に聞く姿勢を持つべきだと考えるが、見解を求めます。 以上で私の質問を終わりますが、市長の明確な答弁を強く求めておくとともに、なお不明確な点があれば、再質問いたすこともあることを付言しておきます。 以上であります。 ○副議長(浜口晴敏君) 市長の答弁を許します。 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) ただいまの姫野議員の御質問にお答えをいたします。 まず、大阪市地域防災計画の見直しについてでございますが、現在その作業を鋭意進めており、計画策定に当たりましては、市民代表や学識経験者などからなる大阪市地域防災計画策定委員会を設置し、災害想定、被害想定、災害応急対策の三つの分科会を設け、各方面からの指導、助言を受け、検討を進めているところであります。今回策定いたします防災計画につきましては、その内容を市民の皆様に十分周知してまいりたいと考えております。 仮設住宅の改善と受け皿住宅の建設についてでございますが、本市におきましては、阪神・淡路大震災により住宅を失われた方々につきまして、市営住宅の空き家や応急仮設住宅等を仮入居住宅として提供してきました。その応急仮設住宅及びその周辺の環境整備につきましては、昨年5月、全会一致で採択された請願を受け、エアコンの設置や周辺通路の整備等その環境改善に努めてきたところであります。また、今後の仮入居者の方々の住生活の安定を早期に図るため、昨年11月から市営住宅の既存空き家約330戸を提供して入居を進めてまいるとともに、被災者の多い西淀川区、淀川区で新築住宅約200戸を提供することといたしております。 震災の被災者への対応についてでございますが、被災された方々に、これまで倒壊家屋等の解体処理、住宅復旧資金の融資の利子補給、災害援護資金の貸付などさまざまな支援を実施してまいったところでございます。個人補償制度の支援措置につきましては、市会で採択されました意見書の趣旨を踏まえ、国へ要望を行ってまいりましたほか、大阪府とともに、災害救助法の適用、拡大についても要望してまいったところでございます。 留守家庭児童対策事業、いわゆる学童保育についてでございますが、空き教室の利用につきましては、学校施設管理上の観点から、社会福祉協議会など公的な団体が事業の実施主体となる場合には、学校の実情を考慮した上で協議させていただくことといたしております。また、助成につきましては、昭和44年から、利用者負担により運営されてきた民間の方々の自主的な取り組みに対して、その経費の一部を助成してきたものであり、毎年その増額を図ってきたところであります。なお、留守家庭児童を含む放課後児童の健全育成施策につきましては、今日の重要課題であると思っておりますので、児童いきいき活動育成事業を中心に、子どもの家や児童館、子ども会活動等とあわせ、万全を期してまいりたいと考えております。 市営住宅の建設についてでございますが、かねてより本市の住宅施策の一つとして積極的に取り組んでまいったところでございまして、現在、その管理戸数は約10万戸となり、市内の住宅総数の約1割を占めるに至っております。今後の市営住宅の建設につきましては、新規用地を取得しての建設は、用地購入に伴う地代が極めて高額となり、家賃が非常に高いものとなりますため、困難でございます。したがいまして、市営住宅の建設に当たりましては、今後とも、市営木造住宅及び簡易耐火造住宅並びに老朽化した鉄筋コンクリート造住宅の建替事業を引き続き推進いたしまして、市民の幅広いニーズに沿った多様な住宅供給に努めてまいりたいと存じます。 人口回復についてでございますが、都市の主人公は市民であり、大阪市が今後とも活力ある都市であり続けるためには、人口構成のバランスのとれた280万都市を実現していくことが重要であると考え、これまでも魅力ある生活空間づくりに積極的に取り組んできたところであります。今後とも、子育て支援サービス等を一層充実してまいりますとともに、良質で適正な価格の住宅供給の促進に努めますほか、アメニティ豊かな居住環境の整備や文化・アミューズメント機能の充実など、「住んでよかった大阪市」、「来てみて楽しい大阪市」づくりを積極的に進め、280万人都市の実現を目指してまいりたいと考えております。 次に、不況から中小企業を守る対策についてでございますが、経済の国際化が進展する中、APEC大阪会議でも確認されましたように、貿易・投資の自由化により、開かれた多角的貿易体制をつくりだすことが、我が国のみならず、アジア太平洋諸国の経済発展に不可欠であり、このような大きな時代の流れの中で、企業の生産拠点を海外に移転することは否定できるものではありません。したがいまして、本市においては、市内中小企業の海外との取引の拡大を支援いたしますとともに、経営を支える人材の確保・育成、技術開発力の強化、生産の高度化によるコストダウンなどの支援により、国際競争力を備えた創造性豊かな中小企業の育成に努めているところであります。 リストラアセスメント制度につきましては、自由な経済活動を基本とする我が国の体制のもとで、企業の国際的な事業活動を規制することは困難であり、本市に規制する権限もございません。 また、厳しい環境に置かれている下請中小企業の振興に関しましては、経営に関する各種情報の提供、相談などの事業を実施いたしますとともに、従来から市内の親会社に対しまして発注量の増加と取引の適正化を要請しておりますが、さらに新たな取引先の開拓支援などを積極的に進めてまいりたいと考えております。 次に、雇用・就職問題につきましては、雇用情勢が厳しい中、大阪市教育委員会、大阪府教育委員会が連携して、経済団体及び大阪府労働部に対して新規学卒者の就職について申し入れを行っているところでございます。 また、本市が実施しております中小企業向け融資制度の金利につきましては、市中金利の動向に即応してまいったところであり、融資の借り替えにつきましても、中小企業者の事業の状況並びに市内金利の動向などを勘案して、柔軟に対応しているところでございます。 公共事業における中小企業への発注についてでございますが、中小企業が受注可能なものは優先的に中小企業者へ発注し、また、可能な限り分離分割発注を行うなど、いろいろ工夫いたしまして、中小企業への契約金額につきましては数年にわたって増大しているところでございます。今後とも、予算の適正な執行並びに中小企業者の自主的努力の助長に留意しながら、中小企業者の受注機会が拡大するよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。 市民の健康、安全、暮らしについてでございますが、大阪型福祉システムとして提案しております安全ネットは、災害などの非常時やひとり暮らしのおとしよりが困ったときなどに、隣近所が自発的に手を差し伸べ、助け合い、相談から実際のケアまできめ細かく援助が受けられる仕組みでございます。既に本市では、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせ、自立した生活が送れるよう、いきいきエイジング、みおつくしプランに基づき、地域にお住まいの方々によって構成されております316の地域ネットワーク委員会や保健医療福祉ネットワーク推進員を中心に、安全ネットとして活動を行っていただいているところでございます。今後とも地域ネットワーク委員会の一層の活性化を図ってまいりますとともに、ひとにやさしいまちづくりや地域社会のコミュニティづくりを発展させることを通じ、安全ネットの充実を図り、高齢者、障害者等の健康や介護、社会参加、さらには災害時の支援など、さまざまなニーズにきめ細かく対応してまいります。 特別養護老人ホームの整備につきましては、従来から積極的な整備に努めているところでございますが、平成5年度からは、大阪市高齢者保健福祉計画に基づき、計画的に整備を進めており、平成7年度におきましても新規に7カ所、560床の整備を予定し、合計40カ所、3,970床と、高齢者保健福祉計画における年次計画を相当上回る速さで整備を進めているところでございます。また、平成8年度以降におきましても、高齢者のニーズを勘案しながら、特別養護老人ホームの整備に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 次に、臨海新都市づくりについてでございますが、これまでの南北軸に加えて、東西軸、湾岸軸を中心とした整備を進めるとともに、地域の特性を生かしながら、住・職・遊のバランスのとれたまちづくりを進めることが、大阪のさらなる発展にとりまして重要であります。 テクノポート大阪計画は、21世紀にふさわしい国際交易、情報通信、先端技術開発、文化、スポーツなど、時代を先取りした高次の都市機能を集積させることにより、活力と魅力あふれる国際経済文化都市を目指すものであります。中でもその中核施設として整備したATC、WTCはテクノポート大阪計画の推進にとって重要な施設であると確信しており、御指摘の関連事業につきましても、推進する必要があると考えております。また、これらの施設は、都心との交通アクセスの整備に伴い、国際経済交流拠点としての役割がさらに高まり、大阪経済全体の活性化が図られるものと考えおります。 次に、同和行政についてでございますが、本市におきましては、同和問題の解決は基本的人権にかかわる重要な課題であるという認識のもと、同和行政を市政の重要な柱と位置づけ、総合的な施策を鋭意推進してまいりました。その結果、住宅、道路、公園等の基盤整備が進み、地区の生活環境は大幅に改善されたところであります。しかしながら、大規模地区を中心とする住環境整備を初め、教育、就労、産業などにおいても重要な課題が残されております。また、本市の市民意識調査の結果に見られますように、差別意識の解消は十分とは言えない状況にあり、悪質な差別事象も後を絶たないことから、市民の人権意識の高揚を図るための啓発活動の充実は今後とも重要な課題と認識いたしております。こうした残された課題を解決するため、国、府の動向を踏まえ、市民の理解と協力を得ながら、一般対策での対応も含め、必要な施策を適切かつ効果的に推進してまいる所存でございます。 大阪市における同和行政の基本的指針につきましては、現行の地対財特法の有効期限が残すところ1年余りとなるなど、同和行政は転機の時代を迎えていることから、これまでの国及び市の同対審答申並びに市同推協意見具申の基本的な趣旨を整理し、取りまとめたものでございます。今後の同和行政のあり方につきましては、現在市同推協において御検討いただいているところでございます。今後とも、同和問題の一日も早い解決のため、努力してまいりたいと存じます。 市民の意見を踏まえた民主的な行政の運営についてでございますが、市政は市民のためのものであり、市民とともに進めていくべきものでございます。そのため、市民の御意見や御要望を市政に反映することが市政運営の基本であると考えております。これまでから、市政を市民の方々に十分御理解いただけるよう、積極的に市政情報を発信するとともに、各局、各区役所などにおきまして窓口を設け、多くの市民の方々の御意見や御要望をお聞きし、市政に反映させているところであります。今後とも、このような立場に立って一層の工夫を進め、市政を推進してまいる所存でございます。 少し順序が変わりましたが、震災対策の中で消防力の基準に関しましては、本市は、消防団を設置せず、常備消防を充実強化することで被害の軽減に努め、その結果、火災を発生した建物だけにとどめ、他の建物に延焼させないという国の消防力の基準の目標を達成するとともに、他の政令指定都市と比較しても、その消防力は極めて高い水準にあります。もとより、消防力は、ポンプ車や人員だけでなく、コンピューター化された火災救急指令情報システムなどの先端技術を導入した総合力であると認識しており、今後とも本市の実情に合った総合的な消防力の充実に努めてまいりたいと考えております。 耐震性貯水槽につきましては、これまでその整備に努めており、現在、各区に1カ所ずつ、飲料水兼用型貯水槽の設置を図っております。また、市内各学校等のプールを消火に利用できるよう、消防水利として指定するなど、水利の確保を図っておりますことに加え、さらに、地域防災計画の見直しの中で貯水槽の整備についても検討いたしております。 次に、災害に強いまちづくりについてでございますが、民間の木造住宅について、引き続き耐震診断や耐震補強に関する普及啓発や本市独自の耐震診断費用の補助を行ってまいります。民間の住宅に係る耐震化のための工事費の助成につきましては、融資制度で対応すべきものと考えており、既に制度化されている住宅金融公庫の耐震改修工事融資制度を活用していただきたいと存じております。 一方、臨海部の開発についてでありますが、大阪港におきましては、主として粘土質のしゅんせつ土や市内の建設残土で埋め立てを行っておりますので、地震による液状化のおそれは少ないと考えております。総合計画21に位置づけておりますように、臨海部は新都心などとして整備していく重要な地区でありますので、今後の開発に当たりましては、今回の地震の教訓を踏まえ、大規模な直下型地震にも耐え得るよう、今後とも災害に強いまちづくりに努めてまいりたいと考えております。 また、在宅老人介護手当についてでございますが、高齢者の在宅介護の充実のために、高齢者保健福祉計画に基づき、ホームヘルプサービスをはじめ、ショートステイやデイサービス、さらには入浴サービスなどの在宅福祉サービスの一層の充実を図ることといたしておりまして、今後とも、実質的な在宅介護の充実を図ることによりまして、高齢者の在宅生活を支援するとともに、御家族の方々の負担を軽減してまいりたいと考えております。 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○副議長(浜口晴敏君) 74番姫野浄君。   (74番姫野浄君登壇) ◆74番(姫野浄君) 再度市長にお聞きをしたいと思いますが、今市長の答弁を聞いていて感じますことは、やはり前西尾市政の二つの病をそのままそっくり引き継いでいるということではないかと思うんですね。具体的なことは今後のいろいろな機会に譲りたいと思いますが、私の質問では3点だけに絞って再質問いたします。 一つは、市長が選挙中から何度も言われております安全ネット高齢者福祉のあり方の問題であります。 安全ネットの問題について、社会福祉のネットワークのことであって、なにもサーカスのような安全ネットのことではないとの趣旨の答弁をされました。しかし、ここにあなたの市長選挙のときの機関紙、「あかるくすみやすい大阪」というビラがありますが、ここで市長は、たとえばサーカスの安全ネットみたいなものをきっちりつくっておいてあげたい。本当にしんどい目にあわれた場合に、これだけはちゃんとありますよというような安全ネット、いわば大阪型福祉システムともいうべきものを考案していくと、こう言っております。その内容はどんなものかということは、大阪府の医師会の機関誌で次のようにあなたは言っております。大阪は助けあいの精神が旺盛なまちであるとし、お互いが支えあいながら、本当に困っている人に、必要な形で、必要なときに何をしてあげるかを十分検討した上で、社会保障としての安全な「網」をはることは必要と説いたと、こうなっています。何を言っているかは明白であります。自立・自助・相互扶助でやりなさいと。本当に困ったときに何をしてあげるかですね、これを検討しましょうと、こう言っているんですね。要は、落っこちた人を恩恵的に救いましょうと、こういうわけであります。これは憲法の生存権保障の社会保障の考え方とは全く違うと、私は思うわけであります。再度見解を伺うものであります。 次に、特養の建設問題ですが、高齢者対策の中の重要な柱に位置づけられてきておりますが、大阪市は立ちおくれてきたので、がんばって年間7カ所とか建設されてきていますが、入所希望者の増加に全然追いつかないというのが現状であります。現在、各区福祉事務所に約2,400人の特養入所希望者が待機しているわけであります。したがいまして、今の計画では追いつかない。特養の大量建設への対策、これが必要になっているわけであります。市長はどのようにお考えか、改めて御答弁をお願いしたい。 最後に、同和行政に対する大阪市の方針に関してであります。私は、今の大阪市の同和行政を続けていくことは、市民の理解を得られないだけではなくて、同和地区を一般社会から行政的に分離、固定化させることになる、壁をつくることになる、このことによって地区住民の自立意識や生活向上の意欲を阻害することになると、こう考えています。このことは私たちだけが言っているのではなくて、地区住民の中からも、もう特別対策はやめてほしい、個人給付などは打ち切ってほしいと、こういう声もたくさん出されているのであります。滋賀県や和歌山県や京都府などの市町村では終結宣言を出したところがふえております。総務庁の地域改善対策室からの、実態的差別は解消されるところまで来ていると、こういう報告もされております。こういう情勢のもとで、大阪市のみが、法律が切れようが切れまいが、差別のある限りやるなどという乱暴な態度をとることは、地区住民の皆さんの人権を守る立場からも許されないことだと思うわけであります。終結以外にないのではありませんか。市長の再度の所見を伺いたいと思います。 ○副議長(浜口晴敏君) 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) 大阪型福祉システムとして提案しております安全ネットは、災害などの非常時やひとり暮らしのおとしよりなどに隣近所が自発的に手を差し伸べ、助け合い、相談から実際のケアまできめ細かく援助が受けられるようにしようという仕組みでございます。本市では、既に316の地域で安全ネットとしての地域ネットワーク委員会が組織され、地域にお住まいの方々約1万人によって活発な活動が行われております。今後ともこの地域ネットワーク委員会活動の一層の活性化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。 特別養護老人ホームの整備に当たりましては、「大阪市高齢者保健福祉計画」に基づき積極的な整備を進めており、平成7年度におきましては新規に7カ所、560床の整備を予定し、合計40カ所、3,970床と、年次計画を相当上回る速さで整備を進めているところでございます。今後とも、市民ニーズにこたえるために、積極的な整備に努めてまいりたいと考えております。 同和行政の終結宣言についてでございますが、平成4年3月の本市同推協意見具申におきましては、「同和行政は、部落差別の現存する限り、同和問題の解決を目指して積極的に推進する必要があり、また、国の財政上の特別措置の有無にかかわらず、実施すべきものである」との提言をいただいております。これまで同和行政を市政の重要な柱として鋭意推進してまいりましたが、大規模地区を中心とする住環境整備を初め、教育、就労、産業などのソフト面での課題が残されているところでございます。同和問題の一日も早い解決を図るため、これまでの同和行政の成果を踏まえつつ、残された課題の解決に取り組んでまいる必要がございます。今後の同和行政については、市同推協において検討いただいているところでありまして、新たな意見具申を尊重して、真に必要な施策の適切かつ効果的な推進に努めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(浜口晴敏君) 52番加藤正武君。   (52番加藤正武君登壇) ◆52番(加藤正武君) 私は新進党大阪市会議員団を代表いたしまして、先般、磯村市長からなされました新しい21世紀の大阪づくりに向けた市政運営の基本的な所信表明に対してご質問を申し上げます。 今日、260万大阪市民は、磯村市長が西尾市政をどのように継承し、どのように21世紀に向けて発展させていかれるのか、また、選挙中の公約をどう具体的に実現されていかれるのか、大きな期待をお持ちであります。我々新進党議員団としても、市民が誇りに思う大阪の実現に積極的な協力を惜しむものではありません。そこで、私は数点にわたって当面する諸課題を指摘し、新市長の御見解を求めるものであります。 まず第1にお尋ねしたいのは、我が党議員団が一貫して主張しております行財政改革の断行についてであります。 民間では、景気の低迷や雇用不安などに対応するため、血のにじむような経営努力をされ、何とかその活路を見出そうと懸命であります。本市においても、こうした厳しい社会経済情勢の中で、揺るぎない都市建設やゆとりとうるおいのある社会を求める市民の多様なニーズに的確におこたえすることは、並大抵のことではありません。そのため、行財政のむだを徹底的に排除すること。そして、それは単に人員配置や行政機構の手直しにとどまることなく、人員削減、外郭団体や組織機構の見直しを含めた厳しい改革が何よりも重要であります。いわば市政全体のリストラによるまちづくり、活力あふれる高度福祉社会を実現することこそ、21世紀に向けた新しい大阪づくりの重要な柱であると考えるものであります。あわせて、市政に携わる職員の資質向上のため、研修の充実、服務規律の徹底を図り、綱紀の粛正についても絶えず意を配らなければならないところであります。 また、私は、今日の地方分権への流れの中で、地方行政の透明性のより一層の向上により、住民の理解と信頼のもとで開かれた大阪市政を推進していくことが、これまで以上に大きな課題となっていると思います。そのためにも、きめの細かい市民サービスの提供に努めることはもとより、市民の声、意見を市政に的確に反映し、市民と行政の良好なパートナーシップのもとで、地域の特性を生かした魅力あるまちづくりを進めていく必要があります。こうした市民参加のまちづくりに向けて行政の仕組みを改善していくことが、今日的な視点に立った行財政の改革でもあろうかと考えます。行財政改革の断行について市長の固い御決意と御所見をお伺いいたします。 次に、防災対策についてお尋ねします。 市長の所信表明でも触れておられましたように、市民が安心して暮らせるためには、安全な都市づくりが基本であります。我が党としても、そうした観点から、昨年の予算市会以来、防災問題につきましてるる提言を行ってまいりました。私は、災害に強いまちを実現するためには、都市全体の不燃化・耐震化などハード面の整備や災害応急体制の充実とあわせ、市民・企業の自主防災体制やボランティアの受け入れも重要な課題であると考えます。行政として災害に対し可能な限りの備えをし、綿密な防災体制を確立した上で、なお災害時には予想外の困難があるものと考えられます。先般の阪神・淡路大震災におきましても、全国から集まったボランティアが、おとしよりなど災害弱者に対する支援を初めとして、救援活動に大きな役割を果たしました。本市としても、災害時においてこうしたボランティアの自主的な活動が活発に展開されるよう、受け入れ体制を整えていく必要があろうと考えますが、市長の御意見をお尋ねします。さらに、災害時もさることながら、日常的に福祉、文化、スポーツなど多様な領域でボランティアを育成・支援し、ネットワークづくりをしていくことが大切であると考えます。21世紀の重要な課題でもあります総合的なボランティアの育成・支援を今後どのように進めていかれるのか、この際市長のお考えをお伺いいたします。 次に、健康づくり施策についてお尋ねいたします。 我が国の平均寿命は著しく延び、今や人生80年の時代を迎えております。しかし、その一方で、高齢化の進展に伴い、寝たきりのおとしよりの医療・介護などが大きな社会問題となっております。高齢社会を迎える中で市民が常にいきいきと暮らしていくためには、おとしよりに対するきめ細かな福祉対策の充実とあわせ、健やかに人生を楽しめる時間、いわば健康寿命を延ばすことが必要であります。特に死亡原因の上位を占める成人病の予防には、食生活や運動・休養の取り方など、普段からの健康管理、健康づくりが非常に重要であります。したがいまして、健康都市大阪の実現のためには、市民に身近な地域で日常気軽に参加できるような健康づくりの体制を確立していくことが必要であると考えます。国においても、生涯を通じた健康づくりの体制を整備するため、従来の保健所法を地域保健法に改正いたしました。本市におきましても、地域保健法の改正の趣旨を踏まえ、保健・医療・福祉の緊密な連携のもとに、相談・健診などいわゆる対人保健サービスの充実強化に努めますとともに、寝たきり予防のための機能訓練など、おとしよりの健康管理の充実を進めていく必要がございます。 また、これまで本市は、地域における健康づくりの場として、地域スポーツセンター、温水プールなどの整備や学校の体育館、運動場の開放を行ってまいりました。今後とも市域全体にバランスのとれた施設の整備を進めるのはもちろんでありますが、これからは、こうした施設を活用して、市民のだれもが、それぞれ年齢や適性に応じて、気軽に生涯スポーツを楽しめるような、いわばソフト面の充実にも力を入れていくべきではないかと考えます。特に大阪市は平均寿命をはじめ各種の健康指標が全国よりも低いと言われております。身近な地域で、保健・医療・福祉・スポーツなどの各分野が連携して、市民の自主的な健康づくりを総合的に支援していくことが大切と考えますが、今後の健康づくり施策の方向について市長の御所見をお伺いいたします。 次に、教育の問題で、学校教育についてお尋ねいたします。 我が国教育は、戦後50年、今まさに大きな転換期を迎えております。もちろん国の施策を待たなければなりませんが、私は、21世紀を担う感性豊かな人材を育てることが学校教育の果たすべき大きな役割であると思っております。本市のマスタープランにおいても、学校においては1人1人の個性を重視し、人間尊重を基本に据えた教育の推進に努めることがうたわれております。しかし、我が国の教育は、今、いじめ、登校拒否をはじめさまざまな諸課題が山積しております。本市でも昨年度、230校、467件ものいじめが起こっているという実態があると聞いております。いじめに代表されるさまざまな諸課題の解決を図るには、問題の早期発見に努めることが大切でありますが、より本質的には、子どもを小さな社会人としてその個性を育み、人権を尊重することを学校教育の基本に置き、平素から地域・家庭と学校が連携して、創造性にあふれた豊かな心を持った子どもを育てることが肝要であります。ところが、学校は今日の激しい時代の変化に十分に対応できているとは言いがたく、また、残念ながら、教育に対する情熱に欠ける先生もいるのが現状ではないでしょうか。私は、いじめ問題の解決や子ども1人1人の個性を生かした教育の充実のために、今こそ先生方が強い、そして柔軟な指導力を発揮できるよう、学校・家庭・地域の連携を一層密にするとともに、教員自らも厳しい研鑽に努めることが必要であると考えます。いじめや登校拒否などに代表される諸課題の解決をはじめとして、今後21世紀を担う青少年の教育をどのように進めていくのか。教育は国家百年の大計と申します。また、歳月は人を待たずとも申します。教育に深くかかわってこられた市長のお考えをお伺いいたします。 次に、生涯学習についてお尋ねします。 21世紀に向けて活力ある大阪を支えるひとづくりを進めていくためには、学校教育の充実とともに、あらゆる市民の皆様に生涯にわたり学習の機会を提供していくことがまた大切であります。本市では、生涯学習施設として市民学習センターや小学校の教室を活用した生涯学習ルームの整備が進められ、さらには、これらの施設の中枢機能として総合生涯学習センターが計画されるなど、施設の体系化が図られております。私は、市民に最も身近な行政単位である区においても、生涯学習の支援機能を充実する必要があろうかと考えます。現在、区内のコミュニティの拠点である区民センターなどにおいて、各種の講習会や区民の主体的な文化活動などが活発に展開されております。しかし、時代の進歩とともに、区民は、より質の高い文化学習活動が行われるよう、施設の文化的な機能のグレードアップを望むようになっています。私は、多様化、高度化する区民ニーズに対応していくためには、今後一層積極的に区民センターの整備促進を図り、学習文化活動の機会や情報の提供などを行っていく必要があると考えます。そして、総合生涯学習センターを初めとした施設と区民センターが密接に連携し、地域の特性を生かした多彩な事業を展開していくことが大切であります。それが地域におけるコミュニティづくりの強化や豊かな文化的土壌づくりにもつながります。と同時に、同じ趣味や関心などを持った人々が同じ場所で出会い、ともに学び合うことによって、市長が提唱されておられる知縁づくり、すなわち新たなコミュニティの形成にもつながるのではないかと考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。 次に、中小企業対策、とりわけ商工業の振興策についてお伺いします。 商都大阪の一翼を担っている商店街や小売市場は、地域産業の中核としてまちの発展をリードし、市民の消費生活を支えてまいりました。しかしながら、市内の商店街・小売市場は、長引く景気の低迷の中で、消費者の低価格志向や大型店、ミニスーパーなどの競合など厳しい状況に立たされております。このことは商業統計でも明らかでありますし、実際に商店街を歩いても、昔ほどの活気がなく、また、地域によりましては、空き店舗も随所に見受けられる状態であります。市長は活力あるにぎわいにあふれた大阪づくりに取り組んでいくと表明されておりますが、これまで商店街・小売市場は、重要なコミュニティ形成の場として、また地域活動の担い手として、住民とともに歩み、繁栄してまいりました。私は、これからの地域におけるにぎわいづくりの核として、商店街・小売市場の振興に積極的に取り組んでいただきたいと考えます。 一方、工業においても、産業構造の転換、長引く不況、円高によるアジア諸国の追い上げの加速などによりまして、大変厳しい状況が続いております。先ごろ発表されました平成6年の工業統計によりますと、本市の工業は前年に比べて事業者数・従業者数・製造品出荷額すべて大幅に減少いたしております。中でも従業者数につきましては6年連続の減少となっております。物づくりは大阪産業の基盤をなすものであり、その衰退は卸売業・小売業・サービス業にも深刻な影響を及ぼすことになります。とりわけ中小工場は取引活動、雇用などさまざまな面で地域と密着した企業活動を展開しているわけでありまして、その特性に十分配慮したきめ細かな支援策を実施し、地域産業の持続的な発展を図ることが、まちづくりの上でもまことに重要であります。我が党としても、大阪のまちづくりの柱の一つとして大阪経済の活力の源泉とも言える中小企業の再生を図るべきと考えており、地域の活力を高め、地域のにぎわいにつなげるための新たな展開をぜひとも実現していただきたいと思っております。経済政策に精通されている市長の御所見をお伺いいたします。 次に、環境の創造は今日、地球的規模の課題となっており、本市としても、水・花・緑を生かした快適な都市環境づくりを進めていく必要があります。そこで、水を生かしたまちづくりについてお尋ねいたします。 大阪は古くから水の都と呼ばれ、豊かな水の恩恵を受けて発展してまいりました。ロンドン、パリなど海外の大都市を訪れますと、都市の中央に大きな川が悠々と流れ、公共の広場や公園には噴水が配置されていて、そこで活動する人々の生活と相まって、大変印象的であり、あたかもその都市の個性が水辺空間にあらわされているような思いがいたしております。大阪においても、淀川、大川、道頓堀、さらにはそれらが注ぐ大阪湾など、水辺は貴重な資源であります。この貴重な資源を生かして新たな水の都を創出するため、本市では、昨年、新・水の都グランドデザインを策定し、これからの大阪のまちづくりの目標として、水を通じた環境との共生、アメニティの向上、交流機能の強化を挙げています。私は、今後大阪をオリンピックの開催地としてふさわしい環境と調和のとれたまちにしていくためにも、豊富な水際線を市民の空間として開放し、このグランドデザインの理念の具体化を図る必要があると考えます。また、その際に、大阪を代表するようなにぎわいの拠点づくりや水を生かした住環境の向上など幅広い取り組みを進める必要があると考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。 時間の制約もございますので、以上数点に絞ってお尋ねをいたしました。 21世紀を目前に控え、国際化、情報化、高齢化など社会経済情勢が大きく変化する中で、バイタリティに富んだ確固たる都市の建設が期されると同時に、生活の豊かさを求める市民の行政に対するニーズもますます多様かつ切実なものとなっております。本市としても、極めて厳しい財政状況にある中で、私は、今こそ、施策が市民のニーズに的確に合致しているか否かを常に検証しながら、市民生活に密着し、かつ将来を見通した市政を展開していくことが強く求められていると考えるものであります。今後大阪市は、先駆的自治体としての今日までの歴史に恥じない創意あふれる施策を展開し、かつまた、市民に身近な行政、きめ細かい行政、そしてわかりやすい行政を進めていただきたい。どうか260万市民の期待に十分こたえられるよう、新市長の率直な御答弁をお願い申し上げまして、新進党議員団の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○副議長(浜口晴敏君) この際お諮りいたします。定刻がまいりましたならば、時間を延長することに決して御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(浜口晴敏君) 御異議なしと認めます。よって時間は延長されました。 ○副議長(浜口晴敏君) 市長の答弁を許します。 磯村市長。   (市長磯村隆文君登壇) ◎市長(磯村隆文君) ただいまの加藤議員の御質問に対しましてお答え申し上げます。 行財政改革についてでございますが、本市では、市民福祉と市民サービスの向上を図るため、これまでから事務事業の見直し、経費の節減など、行財政運営の簡素・効率化に努めてまいったところであります。しかしながら、本市では、税収入の伸びが期待できず、依然として厳しい財政状況の中で、市民が誇れる大阪の実現を目指し、新たな市民ニーズに即応した施策を積極的に展開するとともに、高齢化の急速な進展や地方分権の推進などの社会経済情勢の変化に的確に対応していくためには、限られた財源・人材を有効に活用し、事務事業の見直し、組織機構のあり方などについて今一度検討し、より一層簡素で効率的な行財政運営に努めてまいることが重要であります。また、職員1人1人が公務員倫理の涵養に努めるよう、研修を初め、あらゆる機会を通じてきめ細かい指導を行ってまいりたいと考えております。さらに、市民に開かれた市政を実現するためには、身近なところで市民の声を的確に把握するとともに、市政情報をわかりやすく提供していくことが重要でありますので、市民に最も身近な区役所などの公共施設において市政情報を積極的に提供することによって、市民の信頼にこたえてまいらねばならないと考えております。あわせて、地域の特性を生かした創造性と活力あるまちづくりを進めるために、リサイクルや美化運動など市民の主体的な活動を支援するとともに、市民が創意を生かした自発的な参加ができるような仕組みを構築するなど、市政への市民参加について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。こうした観点を十分踏まえまして、今年度内に行財政改革基本指針を策定し、着実に実施してまいります。   (副議長退席、議長着席) ◎市長(磯村隆文君) (続)防災対策についてでございますが、今回、阪神・淡路大震災によりその被害の甚大さを勘案し、災害に強いまちづくりを実現させるべく、現行の地域防災計画の見直しを鋭意進めているところでございますが、大規模な災害の場合には、市民・企業の自主防災体制やボランティア活動が重要な役割を担うことと考えております。特に自主的な防災のボランティア活動を効果的に展開していただくとともに、市民のボランティア活動への積極的な参加を促進するため、昨年の6月に大阪市ボランティア活動懇話会を設置したところでございます。その中で、行政とボランティア活動とがいかに調和し、市民の福祉を高め、住みよいまちづくりに貢献するかについて、有識者やボランティア活動を実践しておられる方々などから、防災のみならず、全般的なボランティア活動にわたり、幅広く意見や助言をいただいているところでございますが、間もなく提言をいただくことになっております。今日、ボランティア活動は、行政活動を補完する役割のみならず、豊かな共生社会の実現に向けて不可欠な分野となってきております。地域でのサークル活動など何らかの社会的な活動に参加した経験のある人はボランティア活動への参加率も高いという総務庁の調査結果もあり、御指摘のように、普段からさまざまな分野でボランティア活動に対する育成・支援及びネットワーク化を図ることが肝要でございます。行政を担う私どもといたしましては、ボランティアの自発性、主体性を尊重しつつ、ボランティア活動の行いやすい環境づくり、基盤づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。 健康づくりについてでございますが、大阪市におきましても、全国と同様に、40歳以上の年齢層で死亡率が急激に増加すること、その死亡原因の50%以上が成人病であることを勘案いたしますと、壮年期からの成人病対策が重要課題であると認識しております。こうした現状の中、高齢者社会でいきいきとした老年期を迎えるためには、壮年期からの健康づくりを積極的に進める必要があり、既に実施している疾病の早期発見、早期治療といった健康管理をより充実するとともに、日常における栄養・運動・休養のバランスのとれた健康的な生活習慣の実践を取り入れることが肝要であると考えております。本市では、さまざまな健康づくり施策を長期的、総合的に進めていくために、平成元年度に健康大阪計画を策定し、これまで健康づくり意識の啓発、浸透を図り、各種健診や健康教育及び地域での健康づくりを担う人材の育成なども実施し、その充実に努め、また、スポーツ施設などの施設整備を進めてきたところでございます。今後は、この度の地域保健法改正の趣旨を踏まえ、保健・医療・福祉の連携や、多様な市民ニーズに対応したきめ細かな保健サービスの一層の充実を目指して、これまで保健所が果たしてきた役割、機能、実績などを十分考慮の上、本市として、21世紀に向けた健康都市大阪にふさわしい、地域に根ざした、市民に一層信頼される地域保健サービス体制を構築してまいりたいと考えております。 これとあわせて、これまで進めてまいりました健康づくり施策のシステム化、ネットワーク化を一層確立する必要がございます。そのため、成人病予防を主眼に置いて、健康づくりを総合的に支援する中核施設としまして、市民健康センターの具体化を進め、地域の保健・医療関係機関と連携し、生活習慣改善の実践指導を行うとともに、各区で整備の進むスポーツセンター・温水プールなどの身近なスポーツ施設で継続した健康づくりができるような総合的システムづくりを図り、子どもからおとしよりまで幅広くスポーツを楽しんでいただくことはもとより、寝たきり予防のための健康教育や機能訓練事業の拡充など、生涯にわたる健康づくり施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。 学校教育についてでございますが、いじめ、登校拒否などのさまざまな課題が山積しております。これには社会的な背景がいろいろございますが、一つには、私は受験指導に偏り過ぎた教育のあり方にも大きな原因があると考えております。受験という単一な尺度ではなく、多様な尺度で子どもたちを見ることで、子どもたち1人1人の個性と可能性を引き出し、自信と希望が持てるようにすることが何よりも大切であると考えております。 当面の対策といたしましては、教育に直接携わる教職員が、子どもたちのどんな小さなシグナルも見過ごさないよう、これまでにも増して鋭敏な人権感覚と人間尊重への積極的な意欲と実践的な指導力や幅広い知見を養い、子どもたちに豊かでたくましい心を育てることが必要であります。それとあわせて、地域や家庭との連携を密にして問題の解決に取り組んでいくことが極めて重要でございます。そのため、地域の方々との交流や地域に伝わる伝統文化とのふれあいを通じて豊かな心を育むふれあい教育を、すべての小学校・中学校と幼稚園で実施しております。さらに、今後はスクールカウンセラーの活用を図りながら、学校と家庭、また地域の方々が一体となったネットワークづくりを推進して、教育に関する諸課題の解決に地域ぐるみで取り組めるような体制づくりを強力に進める必要があると考えております。 御指摘の21世紀を担う青少年の教育につきましては、来たるべき社会にふさわしい能力や感性を備えた人材を育成することが極めて緊急の課題であります。先ほど申し述べましたように、人間尊重を基盤としながら、新たな時代を担う創造力や情報活用能力を育成する教育を強く推進してまいりたいと存じます。 生涯学習についてでございますが、生涯学習大阪計画の目指す人間尊重の生涯学習都市大阪は、市民のだれもが生きがいを感じ、多彩な地域活動がいきいきと繰り広げられているまちづくりを実現していくことにあります。だれもが住んでよかったと思える魅力ある大阪のまちづくりのためにも、草の根的な市民の学習文化活動やスポーツ交流の充実と地域レベルネットワークづくりが求められております。身近な地域において子どもからおとしよりまでいきいきと活動していくための場や機会を提供するとともに、多様なひととひととの結びつきを促進していくことは、今日の市政の推進にとって重要な柱となっております。そのために、地域におきましては、学校を身近な文化学習活動、交流の拠点として生涯学習ルーム事業を進めておりますが、生涯学習推進員を初め住民の皆さんによる手づくりの運営をさらに推し進めるとともに、学校の内外で子どもと地域の皆さんが学習や交流を通じてふれあう機会を拡充してまいりたいと考えております。また、コミュニティの拠点である区民センターを整備促進し、区内の生涯学習関連施設と密接に連携を図り、幅広い区民のニーズにこたえる事業を展開することにより、区の学習文化交流の拠点として機能させていくことが重要であると考えております。 区において生涯学習を総合的に進めていくに当たりましては、それぞれの区の特色に応じた生涯学習計画が必要であり、区内の官公署・学校・企業・幅広い市民団体との連携を一層深め、市民の皆さんとともに計画づくりを進めていくことが重要ではないかと考えております。そして、これまでの地域社会をもとに形成されている地縁的なコミュニティとともに、このような学び合いの中でつくられるお互いに知り合う縁、すなわち「知縁」を通じた都市型のネットワークによりまして、新たなコミュニティの醸成に貢献できるのではないかと考えております。 次に、中小企業対策についてでございますが、商店街や小売市場、中小工場は、地域の産業振興の担い手として、まちににぎわいをもたらし、雇用の確保などに大きく貢献する一方、市民にとって貴重なコミュニティ形成の場となっております。こうした重要な役割を担っている地域の中小企業は、長引く不況や競争の激化による売上の不振や受注の減少、構造的な後継者難など厳しい状況に直面しており、その活性化は大きな課題であると認識いたしております。市民の消費生活や地域経済を支え、生活文化の発信の場でもある商店街などの中小小売業の持続的発展は、活力あるまちづくりやコミュニティづくりはもとより、大阪のまち全体の活力や魅力の創出にとって極めて重要であります。これまで、中小小売業の振興、発展を図るため、商店街のアーケードやカラー舗装、あるいはカルチャーセンターや小売市場の改装といった魅力ある商業集積づくりへの支援に力を注いでまいりました。今後は、地域への集客力の向上といった観点から、商店街などの衰退の一因ともなっている空き店舗の有効活用を図りますとともに、それぞれの地域で育んできた文化や行事を、住民とともに、商店街が継承発展させ、新たな文化やコミュニティを生み出すなど、ソフト面での施策の展開が重要であると考えております。 一方、物づくりは産業の基盤であり、その衰退は大阪経済全体の低迷につながります。親工場の海外進出や円高等による海外との競争の激化の結果、中小製造業においては受注減に悩む声がとりわけ強くなっております。そのため、ビジネスチャンスの拡大に向けた中小企業相互の交流会や見本市の開催など取引先の開拓支援を初め、研究開発型への転換や先端技術化などの総合的な支援策を実施してまいります。また、御指摘のとおり、市内中小工場は地域と深く結びつき、地域ごとに特色ある地場産業の集積が見られることから、これらに対応した地域工業会活動や業界ごとに取り組まれる活性化事業に対する支援を行ってまいります。こうした地域に根ざしたきめ細かな施策展開とあわせて、地域レベルでの経営相談、情報提供、人材育成事業などの充実を通じ、活力あふれる大阪の創造という観点から、中小企業の活性化を積極的に進めてまいりたいと考えております。 水を生かしたまちづくりについてでございますが、新・水の都大阪グランドデザインでは、環境との共生、アメニティの向上、交流機能の強化の3点をまちづくりの基本目標としております。また、これを実現するために、水を生かしたまちづくり、環境創造、水辺景観、水辺のアメニティ、文化交流、水処理の高度化といった六つの施策テーマを掲げ、新しい水の都づくりに総合的に取り組むというものでございます。 自然緑地に恵まれなかった大阪にとって、水と水辺は大阪の最大の自然であり、大阪ならではの個性と魅力であります。この貴重な資源である水を最大限生かし、世界の人々がスポーツ、文化などを通じて交流するにふさわしい舞台ともなる新しい水の都づくりを進めてまいります。これまで天保山地区や咲洲、ATC地区など水の都のシンボルとなるにぎわいの水辺の創出を進めてまいりましたが、引き続き、今後、大阪の顔である道頓堀川を再整備し、川を軸ににぎわいの界隈とし、また、大阪ドームの岩崎橋地区やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの此花西部地区では、そのウォーターフロントに新たなにぎわいの水辺空間を創出してまいります。一方、今川、細江川、城北川などでは、市民の日常的な生活環境の中でのせせらぎづくりなどの水辺整備も行ってまいりました。このような市民の生活空間での水は、子どもたちが水と遊べる楽しい水辺、生物が生息し、水環境を学ぶ水辺、避難路・防火など防災に役立つ水辺といったさまざまな機能が期待できます。今後このように市民生活の一部として利用できる身近な水辺を各行政区に配置するよう整備を進めてまいります。 以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○議長(徳田育久子君) 以上で質問は終わりました。 △散会 ○議長(徳田育久子君) 本日はこれをもって散会いたします。   午後5時6分散会--------------------------------------- △(イメージ)告知書 ---------------------------------------大阪市会議長   徳田育久子(印)大阪市会副議長  浜口晴敏(印)大阪市会議員   柳本 豊(印)大阪市会議員   土居一雄(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成8年1月11日)(終)...